終わりなき夏 永遠なる音律
ファイアージュ

◇DATA◇

発売:2009年7月24日
DVD-ROM1枚 主人公以外フルボイス
ジャンル:ノスタルジックADV

原画:日向恭介
シナリオ:味塩ロケッツ with 企画屋

いつまでも続くと思っていた楽しい日々は、
      夏と共に終わりに近づいてゆく――

都会の喧騒とはかけ離れた片田舎の須野村で、
主人公・冬馬巧は、頻繁に自宅に泊まりに来る幼なじみの2人の少女、澪と歌音と共に生活していた。
3人が共同生活を始めたのは、過去のある事件がきっかけだった。
澪が父親を失い、歌音が母親を失った悲しい事件。

3人は須野分校の音楽部に所属している。
音楽部を率いるのは、分校を力強く引っ張っていく、自称・特別顧問(スーパーバイザー)の律子。
部員はこの4名だけで、地道に活動をしていたのだが、ある日、転機が訪れる。

巧のクラスに、藍というスポーツ万能少女が転入してきたのだ。
なぜか、律子は「必ず藍を音楽部に入部させろ」と巧に指示を出す。
話しかけてみるも、音楽には全く興味がないという藍に、巧は困り果てるのだが…。

ある夜、音楽部の部室から聞こえてきたヴァイオリンの音色。
巧の心を惹きつけ、巧との能力の差を突きつけて巧を愕然とさせたその素晴らしい音色を奏でていたのは
他ならぬ藍だったのである。

総評:8

アージュの姉妹ライン・ファイアージュ制作の、田舎を舞台とし、音楽をテーマにした学園モノ。
オルタ世界とのリンクがあるということで興味を持ったファンも多いのでは。
(他ならぬ私もそうですがw)
実際にはそれほどオルタ要素はありませんでしたが、全体的にバランスの良い作品でした。
ただ、とても シナリオが 長い。
この辺りはオルタを彷彿とさせました。

■シナリオ  ・・・7点
総評にも書きましたが、とにかく長い!
さっさと好みのヒロインだけ攻略したい方は、めげそうになるかも。

構成は、共通ルート→個別ルート という至って普通の構成なのですが、
共通ルートの中で、全ヒロインの大きなイベント(事件)を描いています。
なので、通常は 共通ルート → 個別ルート(狙ったヒロインのイベント) で済むものが
共通ルート → ヒロインAイベント → ヒロインBイベント → ヒロインCイベント → ヒロインDイベント → ヒロインEイベント
→ 個別ルート
 という感じで、非常に長くなっているんです。
全員分の事件を描いて、各ヒロインがそれを乗り越えないと、音楽部が音楽部として、本当の意味ではまとまらないから
全員の事件を強制的に読ませているという感じでしょうか。
面白くないわけではないのですが、少し読み疲れました。
ちなみに、個別ルートも結構な長さがあります。

内容は、音楽部員を中心として起こる様々な事件(重さは様々)を描いていく学園モノ。
舞台が田舎なので、通常の学園モノとは少し違った雰囲気がありますが、普通の学園モノとして楽しめるかなと思います。
オルタと共通世界ということで、日本の別の地域で戦争が起こっているということは登場人物の皆が認識していますが、
それほどお話への影響はありません。(「オルタと関連がある」という前情報を知らなければ、それはそれで特に問題はない程度)
個別ルート突入後は、いよいよ戦争が本格化してきた、ということで、その設定を絡めた展開

アージュらしい、友情を軸としたシナリオで、よく描かれていると思いました。
主人公ヘタレ説が、今回も上がっているようですが…w 私はそんなに気にならなかったですよ?

共通ルート中はエチイベントがほとんどないので、エチ目的の方は苦痛かもしれません。
個別ルートでは頻繁にイベントが発生し、最終的には律子以外の各ヒロイン4回と、純愛系としては多い方ですね。
(合計21シーン)

■システム  ・・・8点
アージュおなじみのシステムAGES(旧名称rUGP)搭載で、よく動きます。
立ち絵を前後左右上下に動かすことで、通常の会話シーンですら、非常に表現が豊かです。
立ち絵は目パチ、口パクします。口は、ただパクパクするだけじゃなくて、あ・い・う・え・お それぞれで形が変化。
背景のズームイン/アウトと掛け合わせることで、シナリオのト書き部分は映像だけで表現できてしまいます。素晴らしい。
ノベルタイプのゲームの対角線上にあるゲームと言えるかも。

もうひとつ、アージュのシステムといえば音声システムのAGES-ACS。(詳細は『マブラヴ サプリメント』参照)
私のPCでは推奨レベルでの再生が可能でしたが、骨伝導とかは正直わかりません。
ただし、キャラの立ち位置は音声だけで判別できるレベル。あと、キャラの音声が非常にクリアな印象です。

セーブは合計100箇所で、サムネイル、セーブ日付、セーブ時のメッセージ30文字表示。クイックセーブはありません。
アージュにしては随分普通のセーブシステムのような気が。
プレイ画面上にシステムを呼び出すボタンはなく、メッセージのみを字幕っぽく表示するのは、オルタと同じアージュスタイル
セーブ等の度に右クリックする必要があるので、多少面倒な印象はあります。
あと、メッセージが中央寄せ表記なんですけど、文章(単語)の途中で改行されてて、読みづらい時がたまにありました。

その他、ちょこちょこと気になる部分があったので箇条書き。
・誤字が多い
・音楽鑑賞モードがない
・音量設定で音量のテストモードがない
・設定とBGMが合ってない(独奏シーンなのにオーケストラとかw)

AGESとAGES-ACSは高い評価なのですが、その他の部分で粗があったので、アージュ作品にしては少し低めの
8点評価にさせていただきました!

■絵  ・・・9点
原画は日向恭介さん。
キャラの描き分け○、動きを感じる構図○…と、非常に満足でした。絵柄も可愛くて好き。
最近は増えてきた横幅1024のイベントCGですが、動きのある構図のおかげで、すごく広い画面に感じました。
背景は、自然物が少し粗いかも?と思いましたが、気になるほどではありませんでした。

イベントCGは差分抜いて113枚(+SD9枚)、HCG率61%
意外とHCG率が高いな!と思ったんですが、通常のイベント絵が少ない(とはいえ合計100枚over)影響だと思います。
で、イベント絵が少ないのは、システムがAGESだから。と言い切れるかと。
立ち絵で描き切れてしまうシーンが、いくつかあるんでしょうね。

■音楽  ・・・7点
クラシックを題材にした作品らしく、弦楽器やオーケストラを中心にした、品のいいBGMでした。
…が、音楽鑑賞モードがないので、あまり詳しいレビューは書けません(汗。
ボーカル曲は2曲。OP『eternal promise』とED『終わりなき夏 永遠なる音律』で、歌うのはいずれもDreamy Crownさん。
爽やかな曲調が印象的でした。

■総評  ・・・8点
システムと絵の評価が高いので、この点数。シナリオはそこそこだと思います。
ドロドロとした展開のない、青春という響きが似合う学園モノなので、若々しい学園生活のお話が読みたい方にはお薦め。
オルタファンだからといって買う必要は、全くないと思います。

■お気に入りキャラ …藍
               見た目では澪が一番好きだったんですが、プレイしたらコロリと藍にやられましたw
               少し気が強い、男勝りな女の子ですが恋愛には不器用。
               共通ルートでも藍贔屓な描写が多い気がして、メインヒロインは藍なんじゃないかと少し思ってしまいました。
               (実際には澪がメインだと思います)

■お気に入りシナリオ …リーゼ
                完全個別ルート部分だとリーゼかなぁ。
                大いに個人的な理由を含むので、そうは思わない方も多いかも(汗。
                共通ルート中の個別イベントだと、澪か藍かな?
                藍ルートのエンドロール前の終わり方は爽やかで好きでした!
                (結局、シナリオ評価は拮抗しているということでw)

2010.09.19