airy[F]airy
RococoWorks

◇DATA◇
発売:2010年1月29日

DVD-ROM 1枚 主人公以外フルボイス
ジャンル:ファンタジックラブストーリー

原画:笛
シナリオ:J-MENT

―あなたが守りたいものは…何ですか?

幼い頃、わけありでネミの村にやってきた主人公エルモは、今は村にある教会の管理をしながら暮らしている。

この世界には、“土曜日がない”。
カレンダー上はあるのだけれども、金曜の次には日曜がやってくる。
それは、過去にこの世界から“土曜が奪われた”からだった。

曜日が奪われることに重要な関わりを持つのが、毎晩行われる、人間と妖精とのある対戦。
人間の代表者が妖精の代表者と「Eremita」というカードバトルを行い、それに大敗すると曜日が奪われるという。
エルモは、火曜の夜の戦いを担当する「火曜の墓守」でもあった。

今年は、さらにもうひとつ大きな役割を担うことになった。
…サンタリキアの復活祭での司祭役。
一年に一度、ネミの村にある神木“サンタリキア”の枝に精霊の光が宿る日に行われる、サンタリキアの復活祭。
精霊の光の下で愛を誓い合った男女は、末永く幸せに暮らせるという言い伝えがあるのだが、
司祭は、その「精霊の祝福を受ける役」。
つまりはパートナーが必要だった。

エルモは、復活祭の準備に追われながら、身近な人との交流の中で「自身の生き方」を見つめ直そうとしていた。

総評:6.5

私がベタ惚れしている「カタハネ」のスタッフさんが集まって制作された作品。
前作「Volume7」はそれほど高評価にはしていないのですが、ファンタジー色の強い世界観に惹かれて、今回も買ってしまいました。ヨーロッパ風のファンタジー、好物なので(笑)

実際、世界観やゲーム全体の雰囲気は、期待を裏切らなかったです。
でも、シナリオが弱かったかな…。

■シナリオ ・・・6点
いろいろと残念でした。
魅力的な世界観と、面白そうな設定があるのに、それらが活かしきれていない。

攻略対象のヒロインは4名。
カタハネ、Volume7はカップリングが限定されていましたが、今回はヒロインごとのマルチエンディングです。
ただ、ひとつのルート内では不明瞭にされたままにされる設定が多い。
他のルートを読んで解決するものもありますが、全部読んでももやっとしたままの設定も少々…
これは、時間が足りなくて描き切れなかったのか、書き進めているうちに投げた設定を忘れてしまったのか、どっちなんでしょう。
解決しない伏線なら、最初を投げないでほしいんですよね。気になるので。

設定を活かしきれていないものでわかりやすいものは、
ストーリー紹介で大々的に扱われている「サンタリキアの復活祭」がおざなりな点。
あらすじだけ見たら、絶対に、目当てのヒロインと、サンタリキアの下で祝福を受けることになるだろうと思うじゃないですか。
それが…ねぇ。
気付いたら復活祭が終わってた的なルートが数本あるんですよ(涙)

もうひとつ前宣伝に出てきている「Eremita」と曜日を賭けた戦いですが、
こちらも、戦い自体が描かれない週があったり、描かれてもエルモがさらっと勝ってしまって
「曜日を失うかもしれない緊張感」っていうのはほとんど描かれてなかったです。

復活祭とEremita、この二つを丁寧に描いていただけるだけでも、シナリオの印象は随分良くなっていたんじゃないかなー。


各ルートはそれほど長くありません。
個人的な印象かもしれないけど、ヘレンとコレットは盛り上がる場面が少なく、さらに短く感じたかも。
あと、ネタバレかもしれないけど、購入決めに影響する要素だと思うので書いておくと
サラは、本編ルート内にはエチイベントがありません。プラトニック・ラブ(笑)。

エチイベントはサラ以外のヒロインはルート内に2回。
また、クリア後のおまけで各1回追加されまして、サラはこのおまけのみとなります。
J-MENT氏なのできっとどこかに百合カップリングが…と密かに思ってたんですが、今回はありませんでした。
ただし、おまけで3Pあり。
ブランディーヌさんがエチ要員としてはおまけにしか登場ないのは、ちょっと意外でした。

■絵 ・・・8点
原画は笛氏。
相変わらず、淡い色調で綺麗で、線が細くて可愛い絵柄です。
作風にも合ってて◎。大好きです。
背景はカタハネ・Volume7に引き続いてminoriが担当しており、綺麗でした。
彩色にCUFFSの協力があった模様。

やや気になったのは、彩色の仕方が統一されていない点
ぱっと見は気にならず、一枚絵として見れば問題ないんですけども…。
グラフィッカーさんが複数いらっしゃるのは当然で、全部を笛氏が塗る必要は全くないと思います。
けど。
元の絵(基本はたぶん、笛さんが塗った絵)に合わせる努力は欲しかったな…。
ちなみに気になったのは、髪のハイライトの描き方と、主線の色トレスの違い(後者はかなり微妙な違いの気はしますが…)でした。

イベントCGは差分抜いて80枚、HCG率38%。イベント数は11
最近思うんですけど、エロゲ界全体において、CG100枚超えって珍しくなっちゃったんですかね??
前は、基本100枚超え、200以上の作品だってあったように思うのに、
最近は「100枚以下だから少ない」っていう評価ばかりしている気がします。
この調子では、今後「絵」のポイントが満点になる作品がなくなっちゃうんですけど(汗。
まさか、不況の影響ですかね;
食品とかで、価格をキープするために内容量を減らして売るのに似た感じのw

さて、今作自体の評価ですが、Volume7同様、一枚のCGを拡大しても画質が落ちないのは◎。
絵柄のせいもあってかそれほどエチ度は高くありませんが、綺麗で雰囲気のある絵が多く、良かったです。

■システム ・・・6点

基本的なセリフ選択式ADV。
物語の中で大切な位置付けにあるEremitaのカードバトルが、実際にプレイできれば面白かったんだろーなと思います
それができれば、シナリオの項で書いた「火曜を失う緊張感」も生まれたと思うので。
あまりに難しいと、ハッピーエンドに全然たどり着けない可能性が出ますけど(汗。


オートモード、スキップ、バックログでの音声再生等、基本的なシステムは完備。
システム画面は前作と比較すると、整備されて綺麗になりました。
プレイ画面から選べる機能に「VOICE」(最後の音声を再生)ていうのがあるのは、特徴的?

セーブ数は標準90で、オートセーブ、クイックセーブはなし。
セーブ時のテキストを頭から15文字表示させるのと、ゲーム内日付・セーブ日付・時刻記録。
サムネイルはセーブデータごとに表示あり。

プレイ中の画面で各機能へ続くボタン(文字のみですが)にカーソルを合わせると、何の機能へ行くか説明が出るのは優しい。
(最初、「VOICE」って何?て感じだったので。)

目立って特徴的な機能はないですが、使いにくいことはありません。
細かく言えば、朝・昼・夜の三回、アイキャッチ的な日付表示が入る(毎回ではないかも?)のは、
逆に日付がわかりにくくなるので、日付が変わった時に1回だけで良かったです。
あと、選択肢になった時に、カーソルが選択肢のどれか(毎回一番上だったかは覚えてない)に勝手に合わさるので、
キーボードでEnter押しながらプレイしてる私は、うっかり読み進めのつもりでクリックして、選びたくない方選んじゃった!というのが
数回ありました。
カーソル、無理に移動させないで欲しいな…。個人差はあると思いますけど。

プレイに支障はないけど、EDのムービーをフォルダにそのまま入れておくのはやめた方がいいと思いますよ!;
たぶん、カタハネからずっとこの形式なんですけども;;

■音楽 ・・・6点
音楽担当はM.U.T.S. music studio.。
音楽が印象的だったカタハネからの連投となります。
前作Volume7のレビューでは、世界観に際立った特徴がないから、BGMもそんなに特徴がなく…と書きました。
そして今作。
世界観はヨーロッパ風のファンタジー世界なので、特徴的だとは思いますが、んー、BGMにそれほどの特徴はなかったかなと。
優しい雰囲気の曲が多く、よく作風に合っています。
ですので、悪くはないんですけど、それほど印象的なものもなかったかな…。
カタハネが衝撃的すぎだったのかもしれない。ハードル上げちゃっているのかしら。
曲数は、BGM18曲+ボーカル2曲。ちょっと少なめ

テーマソングは『mitro』(歌:Rita)。OP(配布されているデモムービー)に流れる曲で、明るい曲調。
カタハネのOP曲(Alea jacta est!)っぽい、清清しいメロディ。
エンディング曲は『誓いの夜、はじまりの朝』(歌:西沢はぐみ)。
イントロは静かに始まりますが、サビに向けてぐぐっと盛り上がっていく、曲名の通り、未来への強い思いを感じる曲でした。

■総評 ・・・6.5点
前作と似たような評価ですかね。絵は○、シナリオが惜しい、その他は特にインパクトなし。
シナリオについては、描写不足が主な理由です。
面白くなる要素はあるのに、それが活かされない。投げっぱなしの設定がいくつかある。
根底にある世界観が好みな分、ブランドを見放せないのが難しいところです(^^;

シナリオが、大切なところを描ききれていないと評しましたが、そんな中で伝わってきたこの作品の主題は、
「過去にとらわれる必要はない」「未来は自分の力で変えられるもの」といった感じかな。
それならそれで、もっとこういった内容を濃く入れ込んでも良かったんじゃ、とは思いますが。

最後に、ささやかなことですけど、タイトルでFを強調させた理由が気になります。
個性的なタイトルなのでね。
Fの誇張ではなく、airy×2なことの方の誇張だろうか。

■お気に入りキャラ:モニカ
             ビジュアルから、一番好みでした。実際、ちょっと強気で、でも実は恥ずかしがりやな性格も可愛かったです。

■お気に入りシナリオ:モニカルート
              個人的に「最初からカップルが成立していないラブストーリーなら、思いが強まっていく描写は
              ちゃんとすべき」という思いがあり、それが最も描かれていたのはモニカだったと思うから。
              謎が多く、読み進めたくなる要素が多いことや、Eremitaでの緊張感が一番あったのも理由。

2010.02.20

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