eden*
minori

◇DATA◇
発売:2009年9月18日

DVD-ROM 1枚 フルボイス
ジャンル:インタラクティブ・ノベル

原画:ちこたむ、KIMちー
シナリオ:鏡遊

―死にゆく楽園(ほし)へ、最後のラブストーリー。

火星付近に突如出現した紅い星は、地球破滅の象徴だった。
人間は、人類存続のため「地球脱出計画」を立ち上げる。
その計画の中枢を担っていたのは、人類を超えた知識と不老長寿の肉体を持つ、遺伝子改造によって生まれた存在「フェリクス」。
そして、既に多くの人間を宇宙へと導いた「脱出船」を設計した「シオン」というフェリクスの名前は、
救世主として、多くの人間に知られていた。
「シオン」は誰もが知っている存在だったが、その姿を見たことがある者はほとんどいない。

軍の特殊部隊にいた主人公・亮は、新しい任務として「第703研究所」に配備された。
その第703研究所こそ、シオンが管理されている軍の機密施設で、亮に与えられた任務は、他でもないシオンの警護。
そして亮は、想像以上に幼く美しい、少女型のフェリクス「シオン」と出会う。

100年近く、研究所で軟禁され続けているシオンの願いは「この星の上を駆け回ること」だという。
ずっとシオンの世話をしてきたメイドのエリカは、シオンを研究所から脱出させようと目論むが…。

総評:8

これまでに、私が高い評価をしている『ef - a fairy tale of the two』シリーズを手がけるminoriが制作した一般向け作品(※)。
発売当時はあまり興味を惹かれなかったのですが、『天使の日曜日』に付属していたムービー集で興味を持ち、巷の評価も高かったので購入。

シナリオは、個人的にはそこまでハマらなかったのですが、全体的に綺麗にまとめられた良作でした。

※別売りで、18禁要素追加ディスクあり(『eden* PLUS+MOSAIC』)
  当レビューは、18禁要素を追加していない状態でプレイしたレビューです。

■シナリオ ・・・7点
人類を救うために長い時間を生きてきたフェリクス「シオン」と、彼女を守るために配備された軍人・亮。
地球最後の日が迫る中で、二人の関係が深まる過程を描いた作品。
選択肢は一切なく、読み進めるだけとなっているため、もともと映画的演出をするminori作品ですが
より映画っぽく仕上がった作品だったと思います。

シナリオは、現在の亮のモノローグから始まり、シオンと出会った頃から過去を振り返っていく形式。
そのため、冒頭で、現在の亮がシオンと別れを迎えたことがわかります。
それを知った後で読み進めるので、「悲しい別れ」がいつ来るのか、そわそわしながら読み進める感じでしょうか。
最も大きな結末がわかっている分「衝撃の展開に涙する」ということはありませんでした。

全体のプレイ時間は5時間程度で、とても短い感じがします。
フルプライス作品ではないのですが、18禁追加ディスクの値段と合わせるとフルプライスに近くなることを考えると、
やはりちょっと、短い気がします(エチシーンが何分ぶん追加されるのかわかりませんけど)

シナリオは大きく2部に分かれており、前半が研究所、後半は研究所脱出後の2人を描いたもの。
読みやすかった、といえばそうなのでしょうが、トントンッと展開が進むので、更に短く感じました。
各章で(章分けはされてませんでしたが)、もう少し事件か何かがあっても良かったのではと…。
前後半を通して登場するキャラクターが亮とシオンだけ(他のキャラも、ちょこっと出てくるけども)というのも、
シナリオ展開上仕方ないですけど、何か物足りない気がしてしまったかも。

とはいえ、地球の終わりという大きなイベントを前にして、夢や、愛する人のことを思う描写は綺麗でした。
稀に見る、本当の純愛を見た感じ。
シオンが亮に生きてほしいと語るシーンや、目前に迫った別れを前にした二人の会話は、心にぐっと来ました。

真夜が登場した時は、大したイベントに絡む様子がなかったので
「18禁要素を追加すると活躍するのかもだけど…この娘、いらない娘?」と思ったりしましたが(酷)
結果的には、亮がシオンへの想いを確認するために必要な存在でしたし、ちらっとしか姿を見せなかった
亮の姉の存在も、亮が行動を起こすには必要な存在でしたし、登場人物が少ないながらも、
それぞれが必要な仕事はしていたんだな、という印象
です。
もう少し活躍していただけると、嬉しかったけど!
というか、エリカやラヴィも素敵なキャラだと思うので、個別ルートがあったら満足だったかなぁ。
シオンゲーとして、そこは踏み込んじゃいけないのかもですけど(汗。

18禁追加ディスクを入れると、流血表現が増えるのと、エチシーンが追加になるようなのですが
「ここにイベントが追加されるのかなぁ」と想像しながらプレイしておりました。
全ヒロイン、1シーンずつ追加されるらしいですね。
シオンゲーという印象が拭いきれないので、、他の女性とのイベントはちょっと…抵抗を感じる気がしないでもない。
脱出前にエリカやラヴィと、はまだあるかもだけど、脱出後に真夜と、は正直ありえない。「亮ヒドイ」となりそう。
→ちょいと調べてみたら、本編のシナリオ内にエチシーンが挟み込まれるわけではないらしい。
  クリア後のオマケ形式(設定もパラレルっぽい)で追加される模様。

■絵 ・・・8点
原画はちこたむ氏、KIMちー氏の2名構成。
ヒロインズ(特にシオン)が、時に瞳が大きすぎるかな?と思う絵もありましたが、可愛らしい絵でした。

efシリーズ程は感じませんでしたが、CGの照度がかなり強めなのは最近のminoriの特徴なのでしょうか。
映画的演出のため、立ちグラはこの画像だ、というのがわかりづらくはなっているんですが
当作品における立ちグラは、キャラの輪郭にぼかした光のハイライトが強く描かれているため、
光源の反対側のハイライトが気になる→背景から少し浮いた感じになる 気がしたのは少し残念。

背景は、当然の如く綺麗でした。
特に気になったのは、今回多く描かれていた、自然物の背景。
とても綺麗でした。地味に、畑のトマトのアップが好きですw

イベントCGは、minori作品共通の、独断的なルールでカウントした結果…差分抜いて125枚
短めのシナリオの割には、十分な量があったのではと思います。
(それでも、efシリーズと比べると、格段に少ない→シナリオの短さを再確認。)

■システム ・・・8点
efシリーズをプレイしていれば、特に目新しいことはないシステム。(ゆえに、以降の文はコピペのものが多いです)
ですが、元々演出力が高いシステムなので、評価は◎。

シナリオの項に書いた通り、選択肢は1つもなく、「完全に読むだけ」の、ムービーに近い作品でした。
立ち絵が少ない映画的演出で、イベントCGの多数採用、もしくは背景の中にキャラを描いて表現します。
ほぼ常に目パチ口パク(ただパクパクするだけでなく、5母音ごとに口の形が異なり、リップシンク)、
場面によってメッセージの表示位置が変わったりもして(まれに中央に表示)、とても凝った演出でした。
これほどの演出レベルは、他ブランドではしばらく無理なんじゃないかなと思う、minoriの意地を見た感じです。

セーブ数は通常セーブが90。オート1枠、クイック9枠。
表示はセーブ日付・時刻のみ、コメント記入は可能。サムネイル付き。結構判り辛い部類。
メイン画面にはアイコンはゼロで、一度右クリックでメニューを表示させるか、ウィンドウ右下にマウスを持っていくことでポップアップ。
バックログの表示は矢印キーでできたので、操作性は良かったです。
バックログといえば、文字のログが読めるだけでなく背景やCGまで見直せるのはすごいし便利でした。
ただし、かなり前のシナリオを読み直したい時にはとても使いづらいシステム; 1〜2行ずつ読み直さないといけないので;;
ちなみに、どのセーブからでも、プレイ開始部分まで読み直すことが出来ます。

便利だったのは、通常のセリフとしてではなく、イベントCG的にモノローグが表示された場面でも
そのモノローグが見返せる点。

多くのゲームは、バックログでは通常のセリフ部分しか振り返れないため、イベントCG的に組み込まれたセリフやモノローグは
読み返せないんですよね。eden*は、ログとあわせて背景やCGが見返せるシステムのため、そういったセリフまで見返せました。

CVさんは、ご担当のお名前をちゃんと調べていないので確かではないのですが、
efに出演されていた方が多かったように思います。皆さん、お上手。
シオンの声は、最初は「外見の割に大人っぽい」イメージだったんですが
彼女の生い立ちや性格を知ると、それほど違和感は感じなくなりました。
音声に関しては、音量の個別設定ができなかったのは少し不便でした。
シオンの声が小さめな一方で、亮の声が大きかったため。プレイしているうちに慣れましたけど。

■音楽 ・・・7点
主題歌はOP『little explorer』。歌うのは、minori作品ではおなじみの原田ひとみさん。
なんとなく、『ef -the first tale.』の主題歌『悠久の翼』に似ていると感じました。
(eden*には『little explorer』をアレンジしたBGMがあるんですが、それを初めて聴いたとき
 「あれ?efの主題歌のメロディ??」と思ってしまった。改めてこの2曲聞き直すと、そこまで似てないんですが。。。)

efシリーズは、主題歌を使用したOPムービーが非常に良かったのですが、eden*のムービーも良かったです。
個人的には一番好きかもしれない。(最初に書いた通り、当作品に興味を持ったきっかけですしね)

BGMはピアノ曲が多めで、全体的にクラシカルな雰囲気です。
非常にシリアス且つ美しい世界観なので、ちょうど良いのですが。
曲数は32+主題歌1。主題歌は回想ページには登録されません。

■総評 ・・・8点
とても綺麗な純愛作品。
システムは、これまでにもminori作品をプレイしているせいで目新しさは感じませんでしたが、とても上手い演出。
ギャルゲの絵に抵抗がない人であれば、誰にでもお薦めできる作品だと思いました。
多少、シナリオの短さは気になりますけど。

ルートが一つだけのシオンゲーだったので、特にお気に入りキャラやお気に入りシナリオをひとつ挙げることはしませんが
意外と(?)エリカやラヴィも好きでした。
要所要所で出てくるエリカは、天然っぽい口調から受ける印象以上に懐が大きく、いろいろな魅力を持っていそうだし
ラヴィは、私の好物の、戦うツンデレ女の子の香りが…w
シオンも、もっといろいろな日常シーンや、研究で苦労したりしてるシーンがあっても良かったのかなぁ。
つまりは、「シナリオ充実希望!」というのと、真夜はそれほど好きじゃなかったよということでしょうか(ぇ
どーでもいいけど、真夜の衣装はユフィ(FF7)っぽかった。KH版のユフィ要素まで含んでた。

ef以降、すっかりminori作品は私のお気に入りになっております。
なので、ちょっと毛色が違いそうな次回作(『すぴぱら』?)がどうなるのか…。
今のところはあまり惹かれてないんですけど、今回のeden*(発売後2年弱で購入)のように、どうなるかわかんないですね!

2011.6.26

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