いつか、届く、あの空に。
Lump of Sugar

◇DATA◇
発売:2007年1月26日

DVD-ROM 1枚 主人公以外フルボイス
ジャンル:ノベル式天体観測シネマNVL

原画:萌木原ふみたけ
シナリオ:朱門 優

―あの雲の向こうまで。
  この想い、どこまでも届け――

一族の者全てが類稀なる才能を持ち、幅広い分野に名を残す家系、巽一族。
しかし、策には才能が芽生えなかった。
長い間、策は一族の中で、劣等感を抱えながら生きてきた。

そしてある日、厳格な祖父から「お前は好きに生きなさい」と言われた。
・・・巽の者としての失格。
それを痛感した策は、ちょうど巽の一族から候補を探していた役目に立候補した。
空明市に行かねばならないという使命。
理由など、策には何でも良かった。ただ、この巽の家から出られればそれで良かったのだ。

空明市は、その名にふさわしくない町だった。
星の見えない町。夜になると必ず、雲が空を覆い隠してしまうのだ。
この雲払いに挑む行事が、100年に一度行われる。そして、今年はちょうどその年。
町から選ばれた12人の天文委員は、各々の思う方法で、雲払い―照陽菜(てりびな)に挑む。


策に用意された空明市の屋敷には、先客がいた。
「わたしはお前のヨメだ」と突然言ったその少女の名前はふたみ。双子座の天文委員。
わけのわからぬまま、策の空明市での生活が幕を開ける。

星を願う人々。
空を覆う雲。
…策は、何も知らなかった。
自分の運命が、既に何年も前にこの町の影響を受けて歪み始めていたことさえも。

総評:7

絵がお気に入りの萌木原氏専属ブランド、Lump of Sugarの第二作。
淡い色合いで、優しいシナリオが展開されるのかと思いきや…実は、とっても熱くなったりするこの作品。萌えスキーな方は要注意です。

■シナリオ ・・・7点
この作品の紹介をOHPで初めて見たら、
“かわいいヒロインと学園ラブをするほのぼの作品(ちょっと感動アリ?)”だと思うと思うのです。
実際、私もそう思っていました。
「でも、実はそうではない」というのがこの作品を手にする前に最も注意せねばならない点で…
萌えゲーをお求めの方は買っては駄目です、はい。

シナリオの前半は、第一印象に近い、ちょっと不思議な学園モノ
100年に一度行われる「照陽菜」に賭ける少女達の意気込み。
少女達の間にある、互いを思う気持ちやライバル心。
そういったものを描きながら、明るい雰囲気でシナリオが進みます。

しかし後半、セカンドOPの後から、作風はかなりのファンタジーものに変身。
空明市に隠された多くの秘密や人々の思い、確執が描かれます。そしてついには熱い戦闘シーンまで出てきたり。
がらっと雰囲気が変わってしまうキャラもいるので、ショックを受けたファンもいるのではないかと(^^;

感想としては、とにかく難しいシナリオでした。
作者の言いたいことがもう、思いっきり詰め込まれてて、溢れているんですが
表現が抽象的だったり、回りくどかったりでかなり読み辛い。
更には、北欧神話についての基礎知識がないと、「??」と思うものもしばしば。
ものすごく作りこまれた設定だということはわかるのですが、理解し切れませんでした。
もうちょっと丁寧に、わかりやすく書かれていれば「ほほぅ!」と感嘆するシーンが多かっただろうに、と思います。
もったいないなぁ。
北欧神話に詳しい人は、楽しめるんでしょうね。

面白さで考えると5〜6点かなと思ったんですが、これだけ考えられた設定はエロゲには珍しいと思うので、
その辺りを評価して7点とさせて頂きます。
ヒロイン全員の名字と名前に、ここまで意味のある作品が他にあるだろうか?
特に、のんの名前の由来はよく考えたなぁと思った。
また、唯井家まわりのいろいろな設定(主に名前)は濃かったですー。

メインヒロイン3人にそれぞれルートがあり、エチイベントは各1回のみ
エチ度は低いですが、HCG率を上げるためか(?)、1シーンでやたらとCGが切り替わりました。
落ち着かないなぁ…と思ってしまった(特に傘イベント)。
愛々々、のん、みどののルートはない、ということも購入前の確認項目の一つかな?
シナリオ読むと、この3人は別になくてもいいかな〜という気はしたので、特にマイナスポイントにはなりませんでした。

なお、ふたみ、此芽、傘の全てのEDを見ると、
北欧神話設定満載の追加シナリオと、お遊びお手軽おまけシナリオが追加されます。
この二つのシナリオには、イベントCGなし。

■絵 ・・・8点
相変わらず綺麗で可愛い萌木原氏の絵。大好きです!
今回はシナリオの関係で、今までは見られなかった絵柄も見れた感じ。
普通の学園モノだけでなく、ファンタジーもOKだということがよくわかりました。
背景も綺麗だったので問題ナシです。
ただ、枚数がそこそこなのでこの点数で。

イベントCGは差分抜いて111枚。HCG率16%。イベント数は3。
カットインCGについては、背景っぽくないもののみカウントしています。
そういえば、前作Nursery RhymeではカットインCGがおまけに登録されなかったことが不満だった。
ちゃんと改善されたのですね♪ ありがとうございます。

■システム ・・・7点
OHPにて修正パッチが公開されていますが、私はあててません(気付かなかったのです;)。とりあえず、CGは埋まります。

セリフ選択式のノベル。
といっても、選択肢はちょっとしか出てこない(1ルート平均3回)ので、ほぼ読みっぱなしです。

セーブはノーマルのみ100個。十分です。
表示はプレイ日付とゲーム内日付、サブタイトル、サムネイル、セーブ時のメッセージ表示。
ゲーム内日付とサブタイトル以外は、セーブした場所をクリックしないと確認できません
マウスを載せるだけで表示される作品が多い中で、ちょっと面倒だったかも。
サムネイルが全て表示されない形式には、そろそろ慣れてきました(^^;

ノベル形式のためか、通常のプレイ画面にボタンは一切なく、シンプルな画面構成でした。
システム画面を呼び出さないとオートモードにできないのは面倒。
ただし、マニュアル等には書いてありませんが、それぞれのメニューはファンクションキーに割り当てられているので
システム画面のボタンの並び(上から順に)=ファンクションキーだと覚えれば、操作性は問題ナシでした。
(ファンクションキーへの機能呼び出し割り当ては、体験版公開後に急遽追加された機能なので、
 マニュアルには説明がないんだろーなと; ユーザの意見を即座に取り入れた姿勢は評価に値すると思います。)

操作性は問題ないが、特に目を引くシステムもないので7点評価にしておきます。

■音楽 ・・・7点
総曲数は33(BGM30+ボーカル3)。
ボーカル曲は、ファーストOP『あの雲の向こうへ』(歌:霜月はるか)、セカンドOP『SHOOTING STAR』(歌:榊原ゆい)、
ED『届く心、抱きしめて。』(歌:Kicco)の3曲。
『あの雲の向こうへ』は、いつ空をぱっと見た印象にぴったりの、つまり明るく可愛らしい曲。
『SHOOTING STAR』は、後半のシナリオを意識したと思われる、少々ロック調(?)の曲。
私は後者の方が好きでした。霜月さんは好きなんですけどね!
『届く心、抱きしめて。』はバラード。EDにぴったりだなーと思いました。
ただ、傘シナリオの後にはちょっと合わないかも。。。
この3名の中では、お声はKiccoさんが一番好きかな。
弦楽器、ピアノ音などから成るゆったりとした曲調が多いですが、後半のシナリオ用に攻撃的な雰囲気漂う曲もあります。
お話は途中でがらっと作風が変わるけれども、よくカバーできていたのではないでしょうか
ただ、印象的で耳に残る曲はそれほどなし。可もなく不可もなくな7点で。

■総評 ・・・7点
前作は「期待通りの作品を作ってきた」と評価しましたが、今回はまさにその逆。
「期待を裏切る作品」を作ってきました。
この裏切りをどう捉えるかは人それぞれだとは思うのですが、萌えを期待してきた方にはとても可哀相かも。
私は、シリアス系や燃え系はけっこう好きなので、それはOK。
ただやはり、もう少しわかりやすくならなかったものか…というのが非常に残念な点です。
組み込まれたたくさんの設定をしっかり理解できれば、絶対に、もっと楽しめた作品だと思うので。

北欧神話の設定を含め、深く考察されていた方がいらっしゃったので紹介リンク。
クリア後の内容補完にどうぞです。→こちら

■お気に入りキャラ:此芽
             発売前からビジュアルで一番お気に入りだった此芽。
             プレイしてみたら本当にいい娘で、更にお気に入りに♪お姫さまバンザイv
             いい娘という点ではふたみもとてもいい娘でした。ただ、シナリオが難しかったのでつられてランクダウン。
             ごめんよ、ふたみ。
             でも「お主人ちゃん」という呼び名は大好きです(笑) かわいいv

             なお、全ヒロイン(攻略対象外含む)のお気に入りランキングは
               此芽>ふたみ>のん>愛々々>>傘>みどの かな?

■お気に入りシナリオ:此芽ルート
              一番わかりやすかったんだと思います(^^;
              北欧神話設定が組み込まれているとはいえ、直接的にはあまり影響がなかった。
              幼い頃からの策との関係もちゃんと説明されてて良かったです。
              桜守姫一族に備えられたあの力が、超ファンタジーだったのでちょっと世界観から浮いてた気はしますが。。。

2007.03.17

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