君の名残は静かに揺れて
ユニゾンシフト:ブロッサム

◇DATA◇
発売:2010年5月28日
DVD-ROM 1枚

主人公以外フルボイス
ジャンル:ADV

原画:いとうのいぢ 笹倉綾人 ぺろ
シナリオ:市川環 風間ぼなんざ
      神野マサキ @ピース

―ねえ、あなたは本当は、愛されるために生まれてきたの?

ある日、主人公・葛木晶が父親から渡された一通の封筒。
そこには、超名門校・私立鳳繚蘭学園への入学許可証が入っていた。
晶は全く身に覚えがなかったが、「学食タダ食べ放題」という入学特典だけに釣られて、学園への入学を決めた。

学園に向かう道の途中で、晶は長い黒髪を風になびかせる、美しい少女に出会う。
彼女の名前は白鷺茉百合。
鳳繚蘭生徒会の副会長で、由緒ある家柄に生まれた生粋のお嬢様だった。
二人は学園生活を通して仲良くなり、惹かれ合うが、二人の交際には障害があった。
それは他でもない、茉百合が白鷺の家の者であるということ。

家の繁栄を第一としてきた白鷺家の風習と、茉百合の出生に隠された重い真実。
二人は、それらを乗越えることができるのだろうか…

総評:7

前作『Flyable heart』のヒロイン、白鷺茉百合との恋愛に焦点を絞ったスピンオフ作品。
茉百合の母親については前作で既に語られており、今更驚くことではないのですが、実はそれだけではなかった茉百合出生の秘密が、重い雰囲気に包まれた白鷺家を舞台にして語られます。
Flyable Heartのシリアス部分を抽出してさらにシリアスになった印象ですが、面白かった!
ただ、商品価格とのバランスは悪いかも…。

■シナリオ ・・・7.5点
とってもシリアスでした。

シナリオはほぼ1本道で、前半が学園での恋愛、後半が白鷺家でのいろいろになっています。
前半は前作「Flyable Heart」と舞台が同じということもあり、雰囲気は似た感じ。
賑やかな学園生活(ただし、前作よりは控えめ)の中で、茉百合との関係が進展していく様子を描きます。
後半は、コメディ要素を許さないシリアスさ。
白鷺家が厳格な家庭だということはもちろんですが、隠された過去がかなり重い。
なんか、ちょっと昼ドラできそうな感じでした(^^;
恐らくお笑い担当の奏龍のちゃかしすら、晶や茉百合を安心させるための冗談だったり。
今回の奏龍は、かなりかっこよく活躍してますしね〜。前作とは大違い!
(前作でも天音ルートで頑張ってましたが、それ以上です。)

Flyable Heart制作時点で、ここまで深い設定があったんだろうか?と不思議に思ってしまうくらい
よく考えられて、無理のない設定でした。そして、それが明かされていくシナリオは面白かった。
読むのを途中で止めづらいと思ったエロゲは久しぶりかもしれません。

そんな感じで、シナリオは良かったんですが、ほぼ1本道でこの価格か…というちょっとした不満があるので
微妙に点数は下げさせていただきました。
ヒロインは茉百合のみでエチイベント3回、バッドで詩織とのイベントが1回です。
前作の茉百合以外のヒロインに期待している人は、買う必要なし(爆)

前作未プレイでも楽しめるとは思いますが、前作でしかちゃんと説明されない設定(奏龍と茉百合の密約とか)もあるので
前作の茉百合ルートと、できれば天音ルートプレイ後が良いと思います。
(結衣・すずのが今回は出てこない理由や、桜子の設定の変化の理由を知るためにはそれぞれのルートもプレイすべきですが;)
逆に、今回明らかになった前作がらみの設定もあるので、前作プレイしてれば、より楽しめるはず。

オールクリア後におまけ追加あり。
FHファンには嬉しい内容に違いない!(このおまけで喜ぶためには、一刻も早いプレイが必要ですがw)

■絵 ・・・6点
のいぢ氏の絵が好きなのに、厳しめの評価をさせていただきました。
理由は以下の通り。
イベントCGの背景が手抜き傾向
 …通常の背景は問題ないですが、イベントCGの背景のほとんどが、絵を描かない画像処理 or 通常背景をぼかしで重ねただけ
・枚数が少ない
 …1本道でこの枚数というのは評価すべき量ですが、販売価格とのバランスを考えて、です。
・キャラが時にかわいくない(苦笑)
 …なんでか、茉百合がかわいくない。しかも結構な割合で。
   エンドロールのスタッフ表記が「キャラクターデザイン・原画:いとうのいぢ、笹倉綾人、ぺろ」だったことに理由があるのかも?と
   勝手に思っています。

あと、システムの項にも関連しますが、今回はウィンドウが1024*600のワイド画面。
その横長の画面を活かしきれてないイベントCGが多かったように思いました。余白が気になるというか。

イベントCGは差分抜いて66枚(うち、SDが4枚。前作からの流用と立ちグラは除く)。HCG率18%(SDを除く)。イベント数は4。
前作同様、立ち絵鑑賞モードはなし。
今回はお着替えがあまりなかったので、必要性は高くないかもしれませんけども。

■システム ・・・7点
前作からの大きな変更点はなし。選択肢は1箇所のみですが、普通のADVです。
主人公視点の時とそれ以外のキャラの視点の時とでメッセージの表示方法が変わるのは、わかりやすくて良かった。
他のキャラの視点で語られる時は深刻な内容が多いんですが、ノベルっぽい表記方法が、さらに重さを出してくれてたと思います。
あと、前作でマイナス評価だった保存ログ数の少なさに関しては、少ないことは変わりなかったけど、
ロード時はロード前のログも残ってて、ゲーム再開時に助かりました。
(前作では「コンティニュー」だった、前回終了時点の自動ロード機能が、ALIぱれと同じ「ゲーム再開」の呼称になってた。
 作風の都合かな?)

オート、スキップ、クイックセーブ/ロードなどの基本機能は完備。

セーブはノーマル80個、クイック1個。
表示はプレイ日付とサムネイル、セーブ時のメッセージ33文字。
ゲーム内日付や章の表示がないため、どこまで進んだのかわかりづらい仕様もこれまでの作品と同様ですが
今回は1本道シナリオのため、繰り返しプレイをしない限り、それほど困らないかも。

■音楽 ・・・6点
音楽監修は、前作から引き続き、水月陵氏。
素敵な曲が多いのですが、新曲が少なかったので評価は控えめにさせていただきました。
FDなど、続編制作時の難点ではあるのですが。
新曲数は9(うち、ボーカル2)。前作からの流用が24曲。
ボーカル曲はテーマソング『solitude』(歌:KIYO)と、エンディング『君の名残は静かに揺れて』(歌:KIYO)。
いずれも、作品の雰囲気に合わせて静かな曲調です。
エンディング曲の方は、ライナーノーツ読んで評価を見直した1曲。

■総評 ・・・7.5点
全般的に満足なのですが、キャラ絵のイマイチ具合と、派生作品だからこその難点(新曲の少なさ)が点数下げてしまったかな。
内容と価格とのバランスは、1本道とはいえ、一人分のルートにしては長かったので、そこまで気にしているわけではないです。
Flyable Heartファンで、茉百合に興味がないわけではなければ買って損なしかなーと思います。


■お気に入りキャラ:奏龍
             攻略対象じゃないっていうか、男性キャラw
             晶も茉百合も嫌いじゃないけど、今回は会長、オイシイ位置でした!いい奴な上にかっこよかったよ!
             女性キャラについては、歪んだ家庭でも、しきたりに負けず自分の道を進むと決めた茉百合は素敵だったし
             白鷺家の女性陣(巴、小百合、霞織)は、厳しいながらも、根底には茉百合への愛があるんだと最後には
             感じられて良かったです。詩織は…まぁ、ねぇ(汗w

2010.6.19

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