恋と選挙とチョコレート
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◇DATA◇
発売:初版 2010年10月29日
 DVD-ROM1枚
主人公以外フルボイス
  ジャンル: ADV
原画: 春夏冬ゆう
シナリオ: 堅木攻 サブシナリオ:藤井和敏

―きっと、思い出す。きみがいつか無くしてしまった、その放課後を。

生徒数5000人のメガ学園に通う主人公・大島裕樹は、「食品研究部(通称:ショッケン)」という部活に所属している。
ショッケンの活動は、部費で購入した駄菓子を食べながらおしゃべりをすること…という非常に緩い内容。
ただ、幼なじみの千里をはじめとする部員の誰もが、そんな緩さが大好きだった。

しかし、ショッケンに危機が訪れる。
次期自治生徒会長選挙に立候補した東雲皐月の公約は「乱立した無実績の部活動の整理」。
その中でも、これまでに大した実績を収めていないショッケンは、廃部という判断が下される。
皐月は才色兼備で、学生からの支持も厚く、当選する可能性が高い。
このままではショッケンがなくなってしまう…?

ショッケン部員全員で考えた、皐月当選の回避策は、ショッケン部員の誰かが会長選に立候補して、当選すること。
そして、裕樹を立候補者として、そのあまりに無謀な作戦が実行されることになってしまう。

ショッケンの存続を賭けた選挙戦が、今はじまる。

総評:7

新規ブランドであるspriteさんの当作品を知ったのは、某通販サイトのバナーでした。
エロゲらしからぬその美しいイラストに惹かれて公式サイトを訪れ、興味を持ち、購入に至りました。

シナリオは、正統派な学園モノでした。
コピーにあるように、プレイヤーに学生時代を思い出させるようなシナリオを目指されたのでしょうね。それほど劇的な展開はないけれども、心地よく読める感じでした。

とはいえ、もう少しパンチが効いてても良かったのかなという点と、「内容とタイトルがあまり合っていない」という点が惜しかったので、シナリオ評価が下がりまして、総評はこんな点数となりました。

■シナリオ ・・・6点
上記の総評に書いたとおり、正統派の学園モノで、意外と選挙が主題ではない
前者はいいんですけど、後者はちょっと問題アリですよねぇ(汗
更に言うなれば、タイトルに冠している「チョコレート」も、千里ルート以外では、ほぼノータッチです。
ということは、千里以外のルートは『恋と・・・何?』みたいなw

千里ルートがなければこの作品が成り立たないことは、制作スタッフも認識されていたのでしょう。
なぜなら、初回プレイでは千里ルートにしか進めないから。
千里ルートは「恋・選挙・チョコレート」の全てについて触れていますが、代わりに、その後のヒロインルートでは
選挙のイベントの描写は少し薄くなっていました(まぁ、既読スキップ多用するのと大差ないかもですけど)。

では、千里ルートは◎だったかというと、そうでもなく…
二人が結ばれる展開に急さを感じたり、選挙とチョコレートは全く無関係(選挙がなくても、千里との仲は
深まったであろうという展開)だったり…
恋・選挙・チョコレート がそれぞれ関連しあって物語が展開していけば◎だったんですけどね。惜しい。
期待しすぎでしょうか?

一方、その他のヒロイン、特に衣更と皐月については、選挙戦がなければ深まらなかったであろう二人の関係を描いており
良かったです。

物語の前半や、ヒロイン別のルートでいくつか伏線や謎の設定が出てきましたが、
全ヒロイン攻略することで、ほとんどの伏線が回収されたのでほっとしました
ただ、「なぜか年上にモテる」という裕樹の設定など、回収し切れてないのもあったのは残念。
作中では、年上は葉月だけでしたから(美冬は位置付け的に対象外)、別にそんな設定明らかにしなくても良かったなとか。
(葉月は良いキャラだったので、ファンディスク出るなら攻略対象にして欲しい。というか、なりそう。
 そこで、“過去、年上にモテてきたらしい設定”が活かされればよしとしよう!←上から目線w)

割とどうでもいい余談…。
学園モノのエロゲの主人公は大抵「○○学園」に通っており、プレイヤーは「まぁ、日本の○校生だよね」と脳内解釈して
プレイすると思うんですが、当作品は、その脳内解釈を否定する描写が!
主役と、某ヒロインが、飲酒します。
一瞬「あれっ!?」と驚きますが、○校ではないんですから、アリですよねw 当然ですよねww

いろいろ書きましたが、みんなで楽しく部活をする様子や選挙戦を戦っていく描写は心地よく、
クセのない学園モノが読みたい!という方には良い作品だと思います。
ただ、予備選挙戦など、コミケに参加したことがある方や同人のことをある程度知っている方のほうが楽しめる部分もありましたw

■絵 ・・・9点
原画は春夏冬ゆう氏。
新人さんだそうですが、エロゲには珍しい(画風としては最近の流行りですが)、水彩ちっくで淡く、でも鮮やかな絵が美しいです。
新規ブランドでも巷で騒がれた一番の理由は、この絵だと思います。
エロゲらしからぬ絵柄のせいで、立ち絵に違和感を感じたりもしましたが、問題にするほどではありません。
背景も○。

満点にしなかったのは、枚数が少なかったからです。
イベントCGは差分抜いて86枚、HCG率29%。イベント数は15
発売前にはHCGがほとんど公開されなかったので、そちらはどうなのかな?と思っていましたが
ちゃんと描かれてます(笑)。枚数は多くないですが、問題なし。

■システム ・・・5点
※パッチがOHPにて公開されています。(一部の環境で不具合発生 とのこと)

よくあるセリフ選択式ADV。
特筆すべき内容はありませんでした。
ただ、キーボードのショートカットキーが珍しかったので、戸惑いました。(慣れれば操作性には問題なし)
→メモ(カッコ内は、他のブランドでよくある“一般的”だと思えるキー)
 ・ウィンドウ消し:矢印キー右(スペースキー ESCキー)
 ・強制スキップ:スペースキー(Ctrlキー)
 ・直近の音声再生:矢印キー左(通常はショートカットは用意されない)
あと、プレイ画面で「EXIT」を選ぶとゲームが終了します。ここはタイトルに戻って欲しい!
(タイトルに戻るためには、一度システム画面に入って「タイトル画面に戻る」を選択)

オートモード、スキップ、バックログでの音声再生等、基本的なシステムは完備。
タイトル画面でメニューを選ぶ時に、カーソルを合わせてもアイコン(文字)が変化しないので、
ちゃんと反応してるのかな?という不安に駆られたりはしましたw

ひとつイラッとしたのは、特定のBGMが流れた際に、勝手にオートモードになる(解除不可)なこと。
ラストの感動シーンとかならまだしも、そうではなく…
極端なトコだと、携帯は呼び出し音が3回鳴らないと取れないとか(苦笑)
長い挿入歌の部分もなかなか辛かったデス。
私はあまり最後まで音声を聴かない派なので(スミマセン 読んだらクリックしてます)、プレイのテンポを乱されて、やや不快でした。
音声絡みでもう一つ、不具合というほどではないけど、セリフ音声をクリックで中断した際に、前のセリフの残音なのか
次の音の出だしなのかよくわかりませんが(たぶん前者)、音が切り変わりきれずに、変な音として残るのが気になりました。
「チッ」という音で残った場合は、毎セリフ舌打ちしてるみたいに聞こえるんですもんw

セーブ数は標準90で、クイックセーブ1。
セーブ時のメッセージ内容(15文字×3行)、セーブ日付・時刻記録。あと、最新セーブに「NEW」マーク(意外と便利)。
メッセージ内容の代わりに自分でフリーコメントを設定することも可能(ちょっと手順が難しい)。サムネイル付き。
セーブの削除が可能なのは、割と珍しいかな?

なお、Extra(鑑賞モード)は全クリ時にしか解放されません。
絵の評価が高い当作品なので、なかなか厳しい!
で、この鑑賞モードが、またちょっと変わってました。
・CGモードは「メインヒロイン別」「全て」でソートが可能。→「その他」というソート枠がないので、サブキャラ(朧とか)のCGは
 「全て表示」を選ばないと見れない。
(メインヒロインのCGの中に混在するので、探すのが難しい)
・差分の一覧が見られる(これは、他では見ない便利機能。ただし、表示切替方法を自分で選ぶ必要があるのは、やや手間)。
・BGMモードは曲名表示がなく、番号が並ぶのみ(曲名が無いんだろうか?)→何番がどの曲かわかりづらい。
 その上、番号を選んだ後に、選んだ番号がどこにも残らないので「今聴いてるの、何番だっけ??」となってしまう。
・BGMモードは、曲の番号を選択すると上半分に表示されるCG(イベントCGの流用)が切り替わりますが
 完全ランダム表示らしく、曲の雰囲気と全く違うCGが表示されることもある
・各モード(CG、回想、BGM)から「戻る」を選ぶとタイトル画面まで戻ってしまう。(モード選択に戻って欲しい)

システム難ということはありませんでしたが、使いづらい部分がいくらかあったので、評価はやや下げさせて頂きました。

■音楽 ・・・7点
音楽担当は、業界大手のElements Garden。
作風に合った、品の良さを感じる曲調のBGMが多かったです。ピアノ曲多め。
BGMは25曲。

そして、鑑賞モードには1曲も登録されませんが(涙)、ボーカル曲が多い!全8曲。
以下、敬称略で一気に失礼します。カッコ内が歌い手さん。
OP主題歌:INITIATIVE(川田まみ[I've])、挿入歌:piece of my heart(舞崎なみ[I've])、ED主題歌:Jewelry Time(Ceui)。
ヒロインごとにキャラソンが各1曲。これは、各エンディングで聴けます。
キャラソンのフルバージョンが収録されたCDは、店舗特典になっていました(ヒロインごとに店舗が異なる)。
ボーカル曲が鑑賞に登録されないのは痛いなー もう1回聴いて、レビュー書きたかったよ。
皐月の曲が好きだった…気がする(汗

■総評 ・・・7点
ほぼ予想通りという感じでした。
シナリオがちょっと弱かったけど、期待してた絵が楽しめたので、まぁいいかと。
システムの使いづらさは、今後ユーザの声を聞いて、改善されていくと信じています。
当初、「セリフは手書き風文字!」という方向でセールスポイントにしていた気がするフォントも、
ユーザの声の影響か、結局デフォルトはゴシックになってましたしね。(正解だと思います。)

また、デビュー作だからということもあるとは思いますが、ユーザへの心配りが行き届いていて良かったです。
(私はオフィ通を利用したのですが、販促グッズを2度も送っていただきましたし、発売日以降のサーバ負荷への対応
 →OHPは落ちていたけど、パッチのDLはできるようになっていた が良かった。)
いろいろな場面でセンスを感じたので、今後に期待したいブランドになりました。

■お気に入りキャラ:皐月
             発売前にビジュアルが一番好きでしたが、最初の千里ルートでは接点が皆無&ライバルだったので
             「どんな娘?仲良くなれるのかな?」という不安を抱かせられたヒロイン。
             個別ルートではしっかりと、皐月の魅力(強さと可愛さ)が描かれていました!

■お気に入りシナリオ:皐月ルート
              キャラのお気に入り度が手伝って皐月ルートがマイベスト。
              全体にまとまっているのは衣更ルートかなぁとも思いますが。
              
              シナリオ内容を含めた、各ヒロインのお気に入りランキングは 皐月>衣更>千里=未散>美冬 です。

 

2010.11.23

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