カタハネ
(Tarte)


◇DATA◇
発売:2007年1月26日
 DVD-ROM1枚
フルボイス  ジャンル: ADV
原画: 笛
シナリオ: J-MENT

―過去から未来へーー
   カタハネの物語が、今始まる。


時代はまだ、大陸に赤、青、白の三国があった頃。
赤と青に挟まれた小国、白の国で開かれる祭典に、両側の国から人形が招かれていた。
赤の国からは、白い羽を持つ美しい人形、エファ。
青の国からは、背中にぜんまいのある可愛らしい人形、ココ。
二体は、白の国の姫であり優れた人形調律技術を持つクリスティナと共に、
祭典で『天使の羽ばたき』という演劇を行うことになっていた。
リハーサルに向けて練習を積み重ねる三者。
しかし、その裏側では、クリスティナを白の国から連れ出そうという大きな陰謀が動いていた…。


時は流れて現代。
将来、脚本家を目指している少女ワカバは、勢いで町の演劇祭にエントリーしてしまう。
だが実際は、出演者はおろか、脚本さえまだ準備できていない状態。
人形であるココのメンテナンスのため、白銀の村へ行くというセロについていくと決めたワカバは、
その旅の途中で脚本を書き上げ、あわよくば出演者も見つけようと意気込む。

彼女が演劇祭のために準備していた脚本は、有名な史劇『天使の導き』を大きくアレンジしたものだった。
逆賊として名高いアインを「いいひと」の設定にし、悲劇である原作をハッピーエンドにしようというもの。
果たして劇は、無事成功するのだろうか?

総評:8

某ゲーム雑誌の付録として付いていたリーフレットで存在を知った当作品。
淡く美しいCGに惹かれたのがきっかけでした。

本編は過去編と現代編に別れており、過去編は「予告編」としてまるごと無料配布されています。
この予告編をプレイして購入を決意。
結果は…大成功だったと自分で思ってます!

■シナリオ ・・・9点
泣いたー 泣きましたよ。えぇ。
予告編のクロハネは、最初の方かなりお話が堅いしボイスはないしで、正直読み疲れましたが…
一度予告編でEDを見るとクロハネの良さがわかるので、製品版クロハネでは楽しみながら読めました。

シナリオはシロハネ(現代編)→クロハネ(過去編)→シロハネ(現代編)という構成。
プレイヤーの視点がコロコロと切り替わる群像劇スタイルで、誰かに感情移入する、というのはちょっと難しいかも。
シロハネはほのぼの明るく平和な雰囲気。
クロハネは、先に書いたようにかなりシリアス。歴史物ということもあり、結構重めです。
そんなクロハネの世界でも、ココは可愛かった。彼女は間違いなく癒しキャラです。

特筆すべきは、メインが百合シナリオであること。
男女カップルも登場しますが、あくまでもメインは百合カップルであり、イベント比率も百合の方が多くなっています。
内容は「綺麗」でとどまる程度のもの(正直、物足りないw)なので、よっぽど苦手な方でなければ大丈夫かなと思います。
私も別に百合スキーではないけど、大丈夫でしたから。

ルートは3ルートのみで、共通部分は多め。
1周目はかなり時間がかかりますが、2周目は既読スキップを使用すればあっという間に終わるかと(^^;
でも、最後に用意されたココルートがいいと聞いていたので、「早く3周目を読みたい!」と思っていた私には嬉しい仕様でした(笑)。
※ちなみに、私のパソだと一度エンディングを見た後、そのまま「New Game」にすると既読判定が効きませんでした。
 一度ゲームを終了し、再開すれば大丈夫でしたー。


最後に開放されるココルートは、クロハネ編の真のEDを見ることが出来、二つの時代を繋ぐ大切なシナリオです。
本当に良かった。
二つの時代が繋がっていく過程にドキドキ。EDで感動。
「エロゲじゃないよ、これ」と思うような満足感をくれるシナリオで満足。
ほんと、エチシーンはゼロでも構わないです(爆)
ただ、もう少しシロハネ編が長いとよかったかなぁとか、もっと○○のシナリオが読みたいよ!とか
いろいろと惜しいと思う部分もあるので9点にしときました。
シロハネ編の長さに関しては、「シロハネは正しい過去(=クロハネ)を語るための土台でしかない」という印象を抱くほど。
そして、発売前の心配(?)要素である百合については、既読スキップ使ってたら、ココルートの印象に負けまくりで
あまり「百合がすごかった!」という印象は残ってません。
百合狙いで買ったとすると、ちょっと物足りないかも?どうだろう。

■絵 ・・・8点
原画は笛氏。
淡い色調で綺麗な絵を描かれる方。
この作品で初めて知りましたが、かなりお気に入りになりました。作風にもぴったりだった。
背景はminoriが担当しており、大変綺麗です。
シロハネは観光モノでもあるので、各地の風景が綺麗なのは良かった。

イベントCGは差分抜いて128枚、HCG率16%。イベント数は9
一枚のCGを拡大したり縮小したりして1シーンで何回も使うところが多々あり、
これが細かく切り替わってたら嬉しかったな〜と思います(贅沢?)。
絵柄のせいもあってかそれほどエチ度は高くありませんが、とにかく綺麗でした。

■システム ・・・5点
※パッチがOHPにて公開されています。必ず適用しましょう!!

基本は、セリフ選択式ADV。
時々、誰の視点でシナリオを進めるか選択できるA.C.Vシステムというものもあります。
が、何もしなくてもコロコロ視点が変わる作品なので、あまりA.C.Vシステムの印象は残らなかったなぁ。

オートモード、スキップ、バックログでの音声再生等、基本的なシステムは完備。
キーボードでバックログ表示はできますが、表示後のスクロールはマウスしか駄目。微妙に使い辛かったです。
あと、作風に合わせてなのかもしれませんが(過去のTarte作品を知らないので比較できない;)システム周りはかなりシンプル…
というか、地味でした。もう少し凝っててもいいんじゃないかなと・・・。
各種設定を一度にできるコンフィグ画面はなく、音声、スピードなど、ツールバーから一つずつ選ぶ形式でした。

セーブ数は標準144で、クイックセーブなし、拡張セーブはディスク容量の許す限り。
セーブ日付・時刻記録、セーブ時のメッセージウィンドウの先頭部分20文字のみの記録。やや判りづらい
サムネイル付きですが、セーブ箇所にカーソルを合わせて初めて表示されるNavel形式。(私は、判りづらいから苦手)

発売日前に修正パッチが公開されたことでも、ちょっとシステムに対する印象が悪くなってしまってたんですが
使い勝手は「やや難」という感じでした。他がいい作品だけにとても惜しいです。
でも、映画的なビスタサイズ画面(窓枠は800幅だけど、上下を切っているタイプ)や、洋画の字幕っぽいフォントの提供など
雰囲気作りが凝っていたなという印象もあります。その辺りは好印象。
(ただ、私はあのフォントは読みづらかったので変えちゃいました;; 可愛い字だったんだけどぉーー)

■音楽 ・・・10点
サントラ買っちゃいました。えへへ(照) エロゲのサントラ買ったの初めてだ。
予告編のクロハネプレイ時から思ってたことですが、音楽の質がかなりいいです。
特にクロハネはオーケストラ曲を基本としており、高級感・雰囲気ともに問題ナシです。
シロハネ編は可愛いらしい曲調揃い。比較的、アナログ楽器音(実際はシンセサイザー利用でしょうが)で構成されているのが、
これまた作風に合っている
かなと。
テーマソングは『Alea jacta est!』(歌:Rita)。シロハネのOP(配布されているデモムービー)に流れる曲で、明るい曲調。
エンディング曲はシロハネ、クロハネそれぞれに用意されてまして、
シロハネは『It's just farewell』(歌:Rita)。別れを歌う詩ですが、今後の未来に希望を抱くような明るい曲。
クロハネは『Memories are here』(歌:観月あんみ)。全編英語の歌詞で、これも雰囲気があります。
というか、予告編クロハネのあのEDで流れて…ぐぐっと名曲に。
曲数は、ボーカル曲3曲を含め40。満足満足。
ビバ マッツミュージックスタジオさん!(←BGM制作会社)

■総評 ・・・8点
期待以上の出来でした。満足ー。
もし、予告編をしたことがないけど、どんなのか気になっている方は是非体験してみて欲しい。
予告編をプレイしたけど、製品版を買うか決断できていない方は、是非製品版をプレイして欲しい。
だって、予告編だけでは、多くのキャラが報われていませんから。
製品版を最後まで読んで、全てのキャラに、きちんとした終わりを与えてあげて下さい
予告版プレイして雰囲気が気に入った方なら、本編買って損はないですよ。

なぜ、アインは逆賊であるなどという歴史が残ってしまったのか。
なぜ、ベルはエファとそっくりな容姿なのか。
なぜ、ココは長い時を生き抜いたのか。
それらの謎が解け、現代編に登場する多くのキャラの出会いが、過去から繋がる運命の元にあることに気付いた時、
このカタハネという作品が、本当の感動を与えてくれるはずです。

最後に勝手な希望メモ。
 ファンディスクが出るならこのシナリオが読みたい!
 1.アイン×デュア(カップリングじゃないにしても、二人の物語を!)
 2.シロハネ編後日談
 3.ココを作ったおばあさんの話
 4.若かりしレインとルートの物語

■お気に入りキャラ:デュア、アイン
             デュアはクロハネ編に登場する、クリスティナ姫を護衛する女騎士。
             騎士だけにかっこいいし、上司であるアインへの想いがチラ見えするところが可愛いのですよv(そして三咲さんボイスv)
             そして、その後の名場面。クロハネで泣くならデュアのあのシーンじゃなくてどこよ!みたいな感じです。
             (トゥルー最後のエファとかアインも泣けるけど、予告編で配信されてる中ならデュアですね)
             ココルートプレイまでは完全にデュアの一人勝ちだったんですが、ココルートプレイ後は同じくらいアインも気に入りました。
             かっこいいよアインー!
             本当の主役は彼なんだろう、きっと。

■お気に入りシナリオ:ココルート
              文句なくココルート。
              これをプレイせずにカタハネは語らないで欲しい(笑)。
              ちなみに、ココルートとはいってもココと誰かがくっつくわけではありません。

2007.02.10

※制作会社Tarte(株式会社ディール)は2007年2月、倒産されました。
  知ったのはレビュー書いた後、3月頭だったので、かなりショックでしたよ(T-T)
 プレイ時必須のパッチは、りぺあさんにある模様。

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