恋ではなく ―It's not love, but so where near.
しゃんぐりらすまーと

◇DATA◇
発売:2011年5月27日
DVD-ROM1枚  フルボイス
ジャンル:青春群像劇ADV
原画:トモセシュンサク
シナリオ:早狩武志

<CG使用NGのため、ブログパーツで逃げ>

互いを求めて、わたしたちは共に流離う―

八坂典史と槇島祐未は、共通の幼なじみである阿藤扶に誘われて、
8mmフィルムによる映画撮影に参加することになった。
互いも幼なじみである典史と祐未だったが、言葉を交わすのは数年ぶり。
疎遠になった原因は、“因縁のバレンタイン”だった。

東京のモデル事務所に所属する祐未を主役とし、写真部の典史がメインカメラを担当。
映画撮影を通して、2人は、幼い頃の感覚を思い出す。
典史が祐未を被写体として、写真を撮っていたあの頃。
祐未は、典史の撮影技術は認めていたため、それに負けまいと、演技に力を込めた。
それを感じた典史は、祐未の演技に負けまいと、より良い画を求めてカメラを回す…。

映画を作るという目標の下に集まった男女の様々な思いが交錯する、冬の物語。
クランクアップの時、彼らが選ぶ選択とは?

総評:8

「しゃんぐりら」の姉妹ブランド「しゃんぐりらすまーと」の処女作。
しゃんぐりら作品をプレイしたことはなかったのですが、この作品の体験版公開後に、体験版をプレイした多数の方が絶賛しているのを見て、興味を持ちました。
詳しく見てみると、主役は男女1人ずつ、結ばれる女性は一人(祐未)だけという、ギャルゲーとしてはチャレンジングな設定に、更に惹かれて購入。トモセ氏の絵は、好きだったし。
チャレンジングな設定が受け入れられない方もいるかもしれませんが、私のトータル評価は「良かった」です。
ちょっと…と思ってしまうルートもありましたけど。

■シナリオ ・・・8点
男女1人ずつの主人公を中心として、映画撮影に関わる人たちを描くストーリー。
映画撮影は部活動のため、一応学園ものになるのかな…。あまり、通常の学生生活は描かれてませんけど。
ジャンル名の通り「群像劇」で、視点がコロコロと変わります。

まず、特徴的なのは、総評にも書きましたが「ヒロインが祐未だけ」ということ。
※オフィシャルな表現に従うと、ヒロインではない。祐未は主役であり、この作品にはヒロインがいない とのこと。
ルートは複数あるのですが、最後に結ばれるのは、必ず典史と祐未
結ばれる女性が一人というのは、ギャルゲーの作品としては多くなく、あったとしても
「複数ヒロインだと思ってたのに、実は一人だった!」といったプレイ後の批判が出がちかなぁ…と思います。
『恋ではなく』に関しては、その辺りを考慮されたのでしょう、発売前から、“お伝えしなければいけないこと”として
ちゃんと「イベントは典史・祐未の組み合わせのみ」だとOHPに明記されていました。
なので、作品の評価で「攻略対象が祐未だけっていうのが×」というのをちらほら見かけるのですが、
その批判は、不適切かな〜と思ってしまいます。
ただ、サブキャラの女の子たちも魅力的だったので、ファンディスクとかで、スピンオフとして描いてもらえれば嬉しいかも。

複数あるルートごとに、典史と祐未の関係に割り込んで(?)くる男性キャラが異なります。
普通、ギャルゲーだと「どのヒロインとのお話になるか」でルートが分岐するので、「どの男性との話になるか」はなかなか珍しい。
ゴールが祐未一人のため、その他はしようがないんですけど。

シナリオの大筋には、幼なじみの扶を加えた三角関係があり、二人の主人公が最も思い悩むのは、
この三人の関係をどう保つかということ。(亮輔ルートは、その要素は薄め)
互いを求めるこの気持ちは、恋なのか何なのか…
ただ、結ばれれば良いというわけではない、なかなか深い物語だなと思いました。「TVドラマにありそう」という印象。
実際、このままのシナリオで実写ドラマにしても、そこそこ受けるのではと思います。
各キャラがいろいろと思い悩んでいるのが、きちんと描写されていた。
まぁ、典史と祐未は、過去に固執しすぎで、意地っぱりすぎるな〜とも思いましたが。

男性キャラ別ルートが3つあり、3ルートクリアすると、TRUEである「GRAND ROUTE」が解放されます。
各ルートは実読時間で5〜6時間(私のメモでは、扶ルートは7.5時間)あり、攻略対象が祐未のみだからと言って、
短いという印象は全くありませんでした。

そしてTRUEは。。。
結末が、とても、もやっとする。
2人の気持ちが、わからないではない(普通、あまりしない考え方だと思うけど、これまでの物語を見ているので
この2人にはアリだと思う)けど、TRUEの結末がこれかよ!という感じでした。
TRUEじゃない結末としてならありかなぁと思うんですけど…。
結局、ライターが一番描きたかったのはこの結末ということなんでしょうけどね。最も「恋ではない」結末だといえば、確かにそうだし。

「恋ではない」といえば、典史と祐未以外のキャラクターに関しても、それぞれが「恋ではない何か」を見つける物語でした。
この辺りは、群像劇として、いいなと思った点。
え、それは恋でしょ?と思うこともあったけど。

エチシーンは、EXTRAに登録される枠の数でいうと8。前述の通り、全て祐未とのイベントです。
「枠の数でいうと」ということで、ルート内の発生数でいうと各1〜2回。1回で2枠とかがあるということ。
基本は和姦(事情により、心が痛いシーンもいくつかある)で、特殊なシチュはありませんが、シーンがかなり長いという特徴あり。
1晩の描写に60分(実読時間)とか。
60分間ずっとアレしているわけではなく、前戯・イチャイチャタイムが長い。
特殊シチュがないためエロ度は高くないのですが(すごくリアルだなと思いますがw)シーンの長さを考えて、
点数評価は中の上(6点)にしています。

シナリオの内容ではないのですが、ライターの癖で気になった点を一つ。
漢字の使い方が普通じゃない!
普通、漢字で書く単語がひらがなで、漢字は稀に常用外。
そのせいで、読みづらいな〜と思いました。以下は、例。
ひらがな:「いきおいよく」「いちおう」「くわわって」「かれ(彼)」「かれら」「ぼく」「おれ」「あんがい」
      「この点にかんしては」「おもいだした」「おもいかえした」「いつのまに」「むかし」「なっとく」
      「かんがえてみれば」「なんどか」「うち合わせ」「きょう」「よけい」「むろん」「またたくま」
      (序盤、ひらがなが気になりすぎて、残ってるメモが多いw)
漢字:「薀蓄(うんちく)」「愕(おどろ)く」「翳(かげ)り」
今更ですけど、キャッチコピーの「流離う」も、長らく読めなかったんだぜ。

【補足】予約特典の描き下ろし小説は、時間軸でいうとゲーム本編の前の物語+@です。
    PUSH!!に連載していたものに大幅加筆修正したもの+描き下ろしのお話のモヨウ。
    全286P(あとがき・奥付込み)なので読み応えあり。でも、短編の組み合わせなのでさらりと読めました。
    特に表紙には「18禁」とかの表示はありませんが、ひとつだけエチシーンあり。
    しかも、本編内では見れないキャラのエチシーンなので、実は貴重かも。

    本編プレイ前に読んでも問題ありませんが、プレイ後に読んだ方がわかりやすいかなと思いました。
    エロゲのシナリオを書かれる方だからかもしれませんが、セリフが多い割に「〜と、○○が言った」というような表現がなく、
    一度にいろんなキャラが話すとどれが誰のセリフかがわかりづらくて;
    本編プレイ後なので、口調で「これは誰だな」と判別するシーンが時々ありました。

■絵 ・・・9点
原画担当はトモセシュンサク氏。
好きな絵柄の方ですが、作品を購入したことがなかったので「トモセ氏の絵が見れる」ということも、購入を決めた一因でした。
画面解像度が1280×720でかなり大きめでしたが(1280幅は初めてプレイした!迫力あるなぁ)
その広い画面を有効に使って、魅力的な絵を描かれていると思いました。
女性の体は、結構肉感のある絵を描かれるので、絵柄としてはエチ度高め。
絵(線・デザイン)も、塗りも、とても綺麗。満足。裸になった典史の肩幅が狭いのだけ、気になりました。
背景も綺麗でした。

イベントCGは差分抜いて100枚、HCG率18%。Hイベント数(枠単位)は8。
胸丸出しのみでモザイクのないCGはHCGとしてカウントしていないのですが、該当CGが何枚かあったので、
ちょっと厳しくカウントしたことになったかもw

■システム ・・・7点
オーソドックスな選択式ADV。ただ、選択肢は少ないです。
基本的なシステムは完備しており、目立った使いづらさは感じず。
セーブデータロード時は、ログが呼び出した時点からしか残らないのは不便だったかな。
私はプレイ間隔が開きがちで、「どんな展開で終わってたんだっけ」と思い出したいことが多かったので。
レビューのために、シナリオ展開や気になったことなどをメモしながらプレイしてるので、そのメモに救われました。

私は、バックログをキーボード操作で表示したい人なのですが、デフォルトでは対応しておらず、がっくり。
その後、ショートカットキーを個別に設定できることに気付いて、設定したらできました。
メッセージウィンドウ消去、コンフィグを開く など主な機能へのショートカットは全てカスタマイズ可能だったので
結果的には、操作しやすかったかな。

特徴的だったのは、カメラ関係の専門用語解説(Tips)機能
セリフ中の専門用語(初登場時のみ)にリンクが張られ、解説が読めるというもの。
ただ私は、序盤は少し読みましたが、割と数が多いのでめんどくなって、ほとんど見ていません(爆
それだけマニアックな会話が多いということですが、シナリオを理解するのには支障ないかと。

専門用語対策としては、「写真入門」という番外編もあり。(システムの評価かどうかは謎)
最初は「第1回」だけ読めて、1ルートクリアするごとにだんだん増えていく、全5回シリーズ。
サブキャラの好佳と朋子によるフルボイスですが、如何せん内容が濃いため(好佳と朋子も言ってたけどw)
あまりちゃんと読みませんでした(スミマセン
ただ、改めて、写真ってすごい技術だな!と思わされました。

あと、私は『タユタマ』でしか見たことがない“ゲーム画面へのBGM曲名表示”機能があって、タユタマの時に「いいな」と思ったので
機能をONにしてプレイしたのですが、タユタマの時ほど印象に残りませんでした。なぜだ。

画像サイズは1280*720で、ウィンドウサイズもデフォルトは1280*720なのですが、
倍率を選べるという機能がありました!(640*360(50%表示)〜10%単位で、1920*1080(150%)まで)
小さくしても、縮小による画像の荒れはそれほど気にならなかったので、
お使いのパソコンが、まだ1280幅に対応していない!という方でも安心してプレイできるかと。
更に、“画面の比率を4:3に変更”という選択肢がありまして、私はこれがお気に入りでした。
ワイド画面のCGが切り取られるわけではなく、CGはそのままでウィンドウの下側に黒いエリアが追加されて
ワイド画面だとCGに重なって表示されるメッセージウィンドウが、追加部分に表示されるようになるのです。
(画面コピーを貼るのが一番ですが、CG使用NGだから貼れない〜 つらい/涙)
キャラが近くにいて、立ちグラがバストアップになる時や、イベントCG表示時は「メッセージウィンドウが邪魔!」と思ったため
CGが全く隠れなくなるこの機能は、良かったです!

セーブ数は標準120と、クイックセーブ1。
セーブ画面に一覧表示されるのはセーブ日付・時刻のみで、サムネイルはなし…ですが、セーブ時の画面がフルサイズで残ります。
ウィンドウの右端に縦に並んだセーブデータにカーソルを合わせると、左側に、フルサイズの画面が表示される仕組み。
コメントの編集も可能ですが、画面コピー側に表示されるため一覧表示では見れません。
また、メッセージウィンドウは画面コピーに保存されないため、立ちグラのみのシーンで、コメントも残していないと
「これ、どんなシーンだったっけ?」と思ってしまう。あまり使いやすくはなかったです
最新データに「NEW」が表示されるのが救い。

■音楽 ・・・7点
BGM制作担当は Barbarian On The Groove。私は初めて聞くお名前です。
作品の雰囲気に合わせて、落ち着いた曲調のBGMが多かった気がします。
明るいシーンのBGMでも、あまりうるさい感じではないというか。冬の物語ということもあるかも。
総曲数は38+ボーカル曲3
ボーカル曲はEXTRAに登録されません。曲と、歌い手は以下の通り(敬称略)。
オープニング(以下OP)テーマ『ReflectionS』/Barbarian On The Groove feat.カヒーナ
エンディングテーマ『Dancing in the Moment』/佐藤ひろ美、エンディングテーマ(TRUE)『深遠の絆』/eufonius

そういえば、OPムービーは、OPテーマをフルバージョンで聴ける長さ。これも特徴的だよな〜。

■総評 ・・・8点
発売前の期待がやや大きく、期待はずれじゃないといいなーと思ってましたが、結果的に○だったので良かった。
TRUEのもやっと感が残念でしたけど。

エロゲ業界は、ユーザによって作品に求める要素が大きく異なると思うので、
全てのエロゲプレイヤーに受け入れられる作品ではないと思うけど、私は好きでした。
(純愛/凌辱のジャンルだけで考えても、全てのプレイヤーに受け入れられるエロゲなんてないんだろうけど、
 「一般的なエロゲ」をプレイしている人に限っても、『恋ではなく』は賛否両論になりそう、ということ)
エロゲ(ギャルゲ)に、目当ての女の子とのラブラブで幸せな毎日のシーンを求める人には不向き。
ヒロインが祐未のみのため、様々なタイプの女性との会話シーンを楽しみたい方には不向き。
女性に、か弱さ、けなげさ、男性の少し後ろを歩きますという雰囲気を求める方にも不向き。
つまりは、祐未という強い女性キャラクターが受け入れられないと、そもそも×な作品なのですが
私は、強い女性は好きだし、楽しい恋愛だけを描く作品より、少し重い部分があった方が好きなので、合っていたんでしょうね。

事前に、作品の癖を注意喚起として公表してまで、こだわりある作品を作られたスタッフさんには、拍手を送りたいです。

■お気に入りキャラ:祐未
            選べるヒロインが祐未だけだからということではなく、サブキャラを含めてもやっぱり
            祐未が好きかなぁと思いました。
            性格だけだと好佳の方がいい娘のような気がするけどw、気持ちの描写は圧倒的に祐未のものが多く
            (主人公だから当然なのですが)、キャラクターとして理解できる機会が多かった祐未を一番に。
            ただ、強い女性は好きですけど、意地っぱりな性格は、もう少し丸めた方がいいかもね!

■お気に入りシナリオ:扶ルート
            TRUEではなく、扶ルート。
            作品の本筋にある典史・祐未・扶の三角関係が一番しっかりと描かれていたと思うこのルートが好きです。
            結末も、TRUEより幸せそうだし。

2011.11.04

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