PP−ピアニッシモ− <操リ人形ノ輪舞>
Innocent Grey

◇DATA◇
発売:2006年9月29日

DVD-ROM 1枚 フルボイス
ジャンル:スタイリッシュミステリィAVG

原画:杉菜水姫
シナリオ:ますだ由希

――弱さを認めてこそ、人は強くなれる 。

昭和十一年、東京。
主人公・玖遠奏介は、神楽坂のジャズバー「CADENZA」でピアノ弾きをしていた。

ある夜、バーでの仕事を終えた奏介は、帰路で芸妓に襲われる。
つい先ほどまで、腹を痛めたのか、苦しい様子を呈していたので奏介は声をかけたのだが
突然襲い掛かってきた芸妓の目には狂気が宿っていた。
かつて喧嘩で腕を鳴らしていた奏介でも芸妓への反撃は苦しく、
傷だらけになりながら、やっとのことで相手をねじ伏せた。
騒ぎを聞きつけたのか、憲兵の警笛が暗い路地に鳴り響き始めていたが、
途中で出会った少女・綾音の助けを借り、奏介はなんとか家へと帰り着いた。

翌日、いつものようにバーに出向くと、マスターは冷たく言い放った。
「お前は、クビだ」
突然のことにわけがわからない奏介に、マスターは今朝の出来事を話した。
昨夜、芸妓が殺され、その現場から逃げ去る奏介を目撃した人物がいると憲兵が伝えに来たのだと。
奏介は、殺人犯として指名手配されていたのだった。

殴ったのは本当だが、殺しはしていないと訴える奏介。
しかし、マスターの思いは変わらなかった。

ちょうどその頃、東京では「連続狂気殺傷事件」という事件が世間を騒がせていた。
一般市民が、突然凶暴化し、周りの人間を傷つけるという事件。
奏介は、この事件に巻き込まれたのだろうか…?

「あなたは人を殺すような人じゃありません」
そう言って奏介を信じ続ける綾音、そして幼馴染の美華夏らと共に、奏介は事件の調査を開始するが…

総評:8

前作『カルタグラ』がツボにはまって、管理人のお気に入りブランドとなったInnocentGreyの第二作。前作のようなホラー的な雰囲気は薄まり、サスペンスタッチとなっています。
渋い雰囲気がとても良い作品でした*

■シナリオ ・・・7点
『カルタグラ』は推理物的なシナリオを期待していたのにそういった要素がなくて残念だったのですが、
今回は、もともとそれほど推理要素を匂わせていないので、違和感なくシナリオを読み進めることができました。
というわけで、今回も推理物だと思ってプレイし始めると外すかもしれません(^^;
事件に巻き込まれながら、少しずつ核心に迫っていく感じですね。
核心に迫る過程で、突如ファンタジー設定が出てきちゃったりもしますけども。
一応、一箇所だけ推理っぽい選択肢がありまして、これを間違えるとしっかりBADにたどり着きます。

推理物ではないといいつつ、シナリオの先が気になって、どんどん読み進められます。
終わらない連続殺傷事件、奏介への疑いの強まり、キャラクターの謎の行動・・・
中盤から怪しいキャラが何人か出てくるので、彼らの繋がりを予想するのもまた楽し、です。

攻略可能なヒロインが6人おり、それぞれにエンディングが用意されていますが
誰かをクリアすれば事件が解決するわけではありません。
キャラクターによって、ED時に事件の核心に近づいている度合いがまちまちですが
最低でも美華夏のTRUEを見ないと終われない感じ。
犯人は固定なので、基本のシナリオは1本です。
初期状態で見られるエンディングを全て見ると、真犯人視点のシナリオが追加されます。
さらに、この真犯人視点シナリオをクリアすると、もう一つルートが開放されます。
この辺りは、『カルタグラ』で泣いたファンからの意見が反映されているのかなと感じました。

全体的に大人びた雰囲気の作品ですが、綾音の明るい言動や、いじらしい美華夏の振る舞いなどが活きて
決して暗い雰囲気の作品にはなっていません。ハチ&クマは完全にお笑い担当だしなぁ(笑)
カルタグラからの続投出演となった大作さん(たこ焼きおやじ)は、なんだかとても愛らしいキャラとなっておりますw
おやじファンの方は是非、一番最後に追加されるシナリオまでプレイして頂きたい!

あ、でも結構ショッキングな描写があるので…血が苦手な方は覚悟してプレイするように
グロというほどではないし、あるといってもほんの数枚ですけどね!

エチは各ヒロイン2回程度。
それほど濃厚なエチシーンではなく、標準的な感じ(何が基準なんだろう;)。基本は和姦。
初々しいのからお姐さん、妹、メイド(?)まで、系統は幅広めとなっております。

なお、OHPの製品紹介・登場人物紹介ページにて、各キャラのSSが掲載されています。
そのほとんどが過去話で、SSで描かれた設定が本編にもちょろっとセリフに出てきたりするので、
本編プレイ前に一通りSSを読んでおくことをオススメします
キャラのイメージを掴むためには、体験版プレイ→SS読む→本編 がいいかも。

■絵 ・・・10点
やっぱりイノグレのグラフィックは好みです。
彩度の低い絵柄は作品にも合ってて良かった。
前作で惚れこんだ某氏が参加されていないのはとても残念ではありましたが。
特徴的なのは、男性キャラの描写にも気合が入れられまくっているところでしょうか。
少年漫画かよ!と突っ込みたくなるようなアクションシーンの描写も素敵でしたよぅ。

イベントCGは差分抜いて220枚、HCG率21%。イベント数は16。
意外とHCG率が低いことに驚き。その分、通常イベントでキャラがよく描かれているということですけどね。
枚数・質 共に問題なしなので満点評価☆
なお、上記CG枚数にはカットインCGを含んでおり、CG鑑賞モードでは複数枚とされていた一部のカットインCGを、
差分と捉え重複カウントしておりません。

■システム ・・・7点
オーソドックスな選択式ADV。
セーブ数120。クイックセーブ・ロードはありません。
話数とサブタイトルの表示、セーブ日付・時刻記録、サムネイル付き、コメント入力可。使いやすいです。
相変わらず、セーブファイルは一つ2MBあります。まぁ、今更気にもなりませんけども。

私がプレイした作品中では久々に、キーボードでバックログの表示ができて快適でした♪
マニュアルとかには書いてないので、探すのに苦労しましたが;(偶然見つけました/苦笑)
よく使うコマンドはワンクリックで呼び出せるので不便さは感じません。
システムグラフィックもシンプルで見やすくて良かったです。

何気に便利だったのが、Ctrlキーでの強制スキップでも既読判定をしてくれるところ。
「そんなの、普通にスキップコマンド使えばいいじゃん」と思われるかもしれませんが
ピアニッシモは画面の切り替え・立ちグラの表示などの画面効果が多くの場所で使われており
これらの効果設定を有効にしたままスキップコマンドを使用しても、なんともノロいスキップになるんです。
では、設定で画面効果をOFFにし、既読判定ONでスキップするとどうなるか。
スキップの速度は速まりますが、未読部分に到達した時、また画面効果設定をOFFからONに直さねばなりません。
所々に未読部分があると、これが非常に手間。
けれど、Ctrlキーだと画面効果設定ONのままでも効果OFFで快速スキップをしてくれるうえに、
未読部分になるとちゃんと止まってくれる。もちろん画面効果の設定は修正する必要がありません。
なお、未読部分もスキップしたいんだけど!の場合は、普通にスキップ条件を「全てスキップ」に設定しておけばOK。

CVさんは皆さんお上手。
一般作で活躍されている方もいらっしゃるようで?
個人的には、けよりなでフィーナを演じられた手塚さん(葵)の演技が、全くフィーナとは雰囲気の違うキャラなのに
フィーナを思い出させる声(というか雰囲気?しゃべり方というか)になる部分がちょこちょこあって面白かったです。
マイベストボイスはマスターでした(笑) 渋カッコイイっす。

第2作にして既にイノグレ名物な感じのする音声ボリュームチェック、今回の仕込みは全クリ後にアリ!
クリア前までは「気軽には訊けない、でもすごく気になるあなたへの質問」的なものが各キャラに問いかけられ、
その質問に対するキャラの反応が聴けるのですが、その答えはクリア後のボリュームチェックで明らかになるのです。
案外ツボをつく質問が多いので、答えが気になったら是非、全クリアを目指してください♪

演出面といえば、クリアしたキャラによってスタッフロールの字体やBGMが変わるのも凝ってていいと思いました。
璃宝EDは、お話的にはちょっとなぁという感じでしたが、スタッフロールが良かったので感激した!(笑)

■音楽 ・・・8点
主題歌は『蝶』。前作に引き続き、霜月はるかさんが歌われています。
ボーカル曲はその他、エンディングである『Distance』と挿入歌『all the way』。
『Distance』は霜月さんですが、『all the way』は作中ではCADENZAの歌姫・璃宝が歌っているという設定で
プロのジャズシンガーのAyaさんが歌っていらっしゃいます。これがまたカッコイイ。
全体的にジャズが取り入れられており、ピアノ・サックス・ベース・ドラムの渋い旋律が、より作品のかっこいい度を上げています
総曲数はアレンジを含め47
聴き応えのある音楽は、初回版の特典サントラ(2枚組)に完全収録されておりますので、初回版はとてもお買い得だと思いますよ!
(その他、初回版には設定資料集も付いております〜)

■総評 ・・・8点
正直、最初に作品紹介を見た時に受けた印象はイマイチで、カルタグラの方が面白そう…と思ったんですが
プレイしてみるとそんなことはない。
ドキドキ感はカルタグラの方がまだ上のような気もしますが、全体的にうまくまとまっているのはピアニッシモだと思います。
ただ萌えキャラを出すだけのゲームが多い昨今、こだわりを持って作品を作っているなぁと思える、良い作品でした。

今後も、イノグレは管理人のお気に入りブランドですっ。

■お気に入りキャラ:久遠
            これは、かなり迷っての選択。
            OHPの人気投票でもデッドヒートを繰り広げた3強、綾音・美華夏・久遠が、とても甲乙付けがたい
            体験版部分(第4章まで)だけなら迷わず綾音。全部読むと、キャラ的に好きなのは美華夏。
            でも、作品を通して、全てを知っているかのように語る不思議な雰囲気、そして内面の気持ちの動きを見ていると
            久遠が捨てがたいキャラに思えてくるのです。
            最終的には、印象深いシーンが多かった久遠を一番にしてみました。

            その他のキャラを含めた伊吹的ランキングは 
            久遠=美華夏=綾音(←この並び順が微妙な順位差を表すw)>マスター(ぇ)>葵>璃宝=柚芭=千花 かな。
            なんて極端なランク付けなんだ(汗
            葵はただのドSなんですが(笑)、なんだかんだ言いつつ愛に翻弄されている辺りがかわいいなと思ったので、
            ヒロイン内では3強の次。

2006.10.22

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