灯穂奇譚
水鏡

◇DATA◇
発売:2005年4月29日

CD-ROM 1枚 ヒロインフルボイス
ジャンル:ノベル

原画:基4%
シナリオ:横浜元町

―遠き日に繋がる、夏の体温。
  灯火は誘う―現と幻の、裂け目へと。


主人公・永井桐人は、祖母の遺産整理のために、10年振りに生まれ故郷を訪れた。
10年前、桐人と祖母は、父に言われるがまま、夜逃げ同然で故郷…佐奈伎村を出たのだが、
幼なじみのカナタや、その母サユキは、10年前と変わらぬ優しさで桐人に接してくれた。

そんな2人との会話の中で、桐人は、この地に伝わる風習を思い出す。
「この村で生まれた女は、夜に大声を出してはいけない」
「この村で生まれた女は、夜に人と争ってはいけない」
「この村で生まれた女は、夜にこの村の境界線を越えてはならない」
「満月の出ている夜に、この村で生まれた女の姿を何人たりとも見てはいけない」
これらを破った場合には、祟りにあうという言い伝えだった。

夜、蛍のような不思議な光に導かれた桐人が辿りついた先は、この村唯一の神社。
幼い頃にカナタと一緒にここで遊んだ記憶がおぼろげにあるが、その時とは違う空気をまとっているように感じた。
そして、誰もいないはずの本殿の中で、ナミと名乗る不思議な少女に出会う。

総評:6.5

私がこの作品の存在を知ったのは、同人ゲームとしては月姫が大成功を収めた後、ひぐらし(同人版のオリジナル)がまだ完結していない時で、かなり熱かった頃でした。灯穂奇譚は同人作品としては珍しく、Sofmapでの通販予約(特典付き)が行われ、「これはひぐらしに続く大ヒット作になるかも!?」と思って、手を出したんだったような記憶w
結果、そんな大ヒットにはなりませんでしたが、それなりに楽しめたので満足です。

■シナリオ ・・・7点
田舎を舞台にした伝奇モノ。

思っていたよりは面白かったです。
というのも、ただ怖いシナリオではなく、死と生について考える展開や、切ない展開があったため。
惜しいのは、シナリオが深くなるのが比較的後半からだということでしょうか…。
序盤は、ホラーというには物足りず、幼なじみときゃっきゃうふふな展開というわけでもなく、どっちつかずで薄い感じ?
あと、難しい伝奇設定を、ほぼ全て稗田の難解なレポートで語ろうとしたのは、理解しづらくてまずかったのではと思います。
一応、読んだ後に桐人がまとめ直しますけど…。
(というか、この辺はすごくひぐらしちっくでアレですよね!)

古事記と関連を持たせた設定や、切ない展開は良かったのですが、
辻褄の合わない描写や、同じことを繰り返して言うのが時々あったのが非常に気になりました。
標準語を身につけるためにTVで練習したはずなのに、意識してしゃべると変な方言で、結局普段の会話は標準語だったり。
携帯の電波が入らないことはイヤというほど実感しているはずなのに、着信がないことを推理要素の一つにしたり。
(その直前、電話をかけて繋がったっぽい描写もあるんだよねー;)
ナミの瞳が「深い琥珀色」だったり「黒く澄んだ瞳」だったり。
シナリオ、お一人で書かれてるんですよ ね?
セリフで、数行後にまた同じセリフ(前後は微妙に違う)言うのとか、不自然だし。声優さん、収録時に嫌がるべき!
シナリオだけ読んでたら問題ないですが、電気が通っていないはずの家の、電気ついたCG(窓の外はちゃんと夜)があったのもどうかと思いましたよ。

文字として出ていない不具合といえば、作者が脳内で設定を組み上げて満足してしまって文面に出てない設定があり、
読んでる身からすると「そうだったの!?」と驚く場面もしばしば。(作者は書いた気になっている?)
誤字脱字もちょこちょこ。(※私はパッチ適用済み)
書いたら、一度は何も知らない人に読んでもらうべきだと思うですよ。

まぁ、そんな感じでツッコミ所満載なのですが(同人ってこんなもんなのか?)
後半は素直に面白いと思ったので、ややオマケで7点評価にしておきます。

なお、エンディングは3種類ありますが、共通部分が多く、一度クリアすればコンプは容易です。
(一度クリアするまでは、結構時間かかりました。同人だし、もっと短いと思ってた!)
既読スキップが効かなかったので、2周目以降も少し大変でしたけど。。。
ちゃんとパッチ当てたのに!なんで!?ていうか普通のスキップ指示はどっからするのさー!?
 →詳細はシステムの項で。

攻略対象…というか、エチイベントが発生するのはカナタとナミのみ。
エンド3種類とは言え、どのルートでも両方と関係を持つので、個別ルートという感じではありません。
基本の流れは1本で、最後に誰のことが一番好きか、という違いでしょうかね。
作品の雰囲気からしてエチの必要性は低い感じで、「愛する二人だから」という感じのイベントは少なかったです。
同じ理由で、入れるのも難しい(というか必要性がない)んでしょうけど、稗田(霧香)やサユキのHCGゼロなのは、ちょっと惜しい。
せめて稗田の眼鏡オフ画像、見たかったわぁ!w

■絵 ・・・7点
原画は基4%氏。
現在は商業(枕、ケロQ)で活躍されています。
比較的新しい流行寄りの絵柄(だと思う)で、可愛らしい。塗りがセルちっくなのも特徴的。
非常に可愛い顔を描かれるのですが、全身のデッサンはイマイチでした…。
服を着た立ち絵やイベントCGでは感じづらいんですけど(二の腕や腿の長さはイベントCGでも気になる)
全裸の立ち絵が…ちょっと…。
あと、手(指)の形。
最新(2010年6月現在)の作品でも手の描き方はあまり改善されてないようなので、これは直していただきたいな〜。
ギャル絵でも、よく描くパーツだと思いますし。
上から目線でスミマセン。

背景は綺麗でした。
最後に出た山村を見下ろす写真っぽいのが、これまたひぐらしっぽくてアレでしたが。
今までの背景に、合掌造りの家なんてなかったじゃん!!

イベントCGは差分抜いて37枚(一部の背景CGを除く)、HCG率12%。イベント数は5
同人作品としては枚数・質は十分だと思います。
惜しむらくは、HPだとナミの2枚目に載っているCGが入ってなかったこと!
綺麗なのに!あれは開発途中ですか…(涙)
そういえばカナタの3枚目のも、夜バージョンはなかったような…。

■システム ・・・5点
基本的な選択式ノベル。
パッチを当てることで、テキストは縦書き・横書きの選択が可能です。

システムは使いづらい点が多かったので、書いておきます。
既読スキップの使い方がわからない
 (機能自体はパッチで追加されたらしいが、それらしきメニューがなく(既読スキップON/OFFの設定メニューはあるが
  普通のスキップ開始のボタンがない)、Ctrlスキップや「選択肢までスキップ」では既読判定が効かなかった)
・右クリックもしくはスペースキーで ログ表示→ウィンドウ消去→通常画面 と順に切りかわるため、ログとウィンドウ消去、
 どちらかしかしたくない場合(ほぼそうですが;)には非常に面倒。
・ログ画面にスクロールバーがなく、かなり前のログを見るのに苦労する。(マウスホイール回しまくった)
・バックログの音声再生のためには、対象のセリフをログの一番下の行に表示させないといけない
・選択肢の出ている画面でセーブしたら、数回ロードミスした。(選択肢が出ず、メッセージ送り不可になる)

オートモード、スキップ(難あり)、バックログでの音声再生(難あり)等、基本的なシステムは備えています。
セーブ数は99で、オートセーブ、クイックセーブはなし。
サムネイル表示とセーブ日付・時刻記録。コメントは自由に設定可能。
商業作品でよく見かけるのとはかなり異なるユーザーインターフェースのため、使い方にちょっと戸惑いました。
まぁ、使えないわけではないので良いです。

システムの項かどうかは微妙ですが、CVさんは皆さんお上手でよかったです。
ていうか、商業でもかなり活躍されている方ばかり…!お金かかってるんでしょうかw

■音楽 ・・・6点
BGMは素材屋さんのを使用しているっぽい。
特に場面とのミスマッチはなく、良かったと思います・・・が、
トゥルーの最後は完全にミスマッチだったと思います。急にポップになりすぎでしょー!感動の余韻が(涙)
一方主題歌は当作品のために用意されたもの。『Under the different sky』(歌:monet)
落ち着いた歌声で、すごく好きでした。
この主題歌が使われてるムービー、何回も見ましたもの。
なお、おまけモードに音楽鑑賞はないため、使用された曲数はわかりかねます。

■総評 ・・・6.5点
トゥルーエンド見るまでは、シナリオもそこそこの評価(物足りない止まり)だったんですが、トゥルーで持ち直した印象です。
泣きはしなかったですが、主人公のご都合でぽんぽーんと丸く収めるわけではなく、良かったのではと。
システムがもうちょっと整ってれば、バランスの取れた良作になったかもしれません(あくまでも同人作品としての評価)。

■お気に入りキャラ:ナミ
             ビジュアルと、声が理由でしょうかw 不思議少女は、管理人の好物です!白髪キャラも割と好き。

■お気に入りシナリオ:トゥルーエンド
              他は物足りなかったので。
              それと、カナタの魅力を感じられるのもトゥルーエンドだと思います。

2010.06.06

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