タユタマ -kiss on my deity-
Lump of Sugar

◇DATA◇
発売:2008年7月11日

DVD-ROM 1枚 主人公以外フルボイス
ジャンル:恋する乙女の神通力ADV

原画:萌木原ふみたけ
シナリオ:史方千尋

―あなたと ひとつになるために 生まれてきました――

主人公の泉戸裕理は葦原町にある小さな神社、八衢神社の一人息子として生まれた。
しかし、神社を継ぐか、趣味のバイクいじりを活かせる職業に就くか、自分の将来は不明瞭で、
ただ安穏と学生生活を送っていた。

裕理が通っているのは、創聖学院一般学部(スライトリー)。
春休み、スライトリーではグラウンドの拡張工事が行われていたが、その工事現場で偶然遺跡が発掘される。
科学鑑定の結果、遺跡は作られてからさほど年月が経っておらず、学術的価値はないとの結果が出たため、
学院の教授陣は、遺跡を無視して拡張工事を続行することを決める。
しかし、裕理はその判断が納得行かなかった。
遺跡には「太転依(たゆたい)」の文字が刻まれていたため、この地域一帯の守護神である「たゆたゆ様」を
祀(まつ)る遺跡ではないかと考えたのである。しかも、たゆたゆ様を粗末に扱えば、災いが訪れるという伝説もある。

工事の続行で遺跡が破壊され、たゆたゆ様の災いがふりかかるのはまずい。
そう考えた裕理は、遺跡に宿る御霊を抜き出して別の場所に移す「御霊移し」の儀式を執り行うことを決める。
学院の関係者や工事作業員のいない深夜、遺跡の前で、父から学んだ祓詞を読み上げる裕理。
幼い頃に、父の真似をしようと覚えた祝詞だったが、遺跡はその呼びかけに反応した。
周囲の時が止まり、遺跡から光が溢れ、そこに現れた人型の神。その者の名は…
「大和の東を統べたる 綺久羅美守毘売(きくらみかみのひめ)と申す」

***

綺久羅美が蘇った結果、現世に姿を現した太転依のましろ。
彼女は裕理と「夫婦」になり、人間と太転依が共存する世界を作りたいのだという。
そのためには、ましろの理想を否とする3体の強大な太転依を倒す必要があるのだとも。

果たして裕理は、ましろと共に生きられる世界を作ることができるのだろうか…?

総評:7.5

絵がお気に入りの萌木原氏専属ブランド、Lump of Sugarの第三作。
萌木原氏お得意の耳っ娘たちと、ファンタジーなラブコメを繰り広げるかと思いきや、実際にはコメディ要素はそれほど多くない、ファンタジーADVでした。
各項目が非常にバランスの良い、良作だと思います。

■シナリオ ・・・7点
人間界に現れたケモノ耳っ娘が活躍するファンタジーなラブコメかな、と予想していたのですが、
予想以上にちゃんとしたファンタジーでした。ドタバタコメディで済ますとかういうことはなかったんです。

物語の要になっている「太転依」は、わかりやすく言ってしまうと妖怪の類。←太転依ズにおこられそうですが(汗w
500年近く太転依たちが封印されていた遺跡が破壊されて、現代に太転依が復活することが物語の出発点です。
封印から解放された太転依の中には、人間に危害を与える恐れのある「三強」と呼ばれる三体の太転依が含まれているため、
封印の中で長らく彼らを見張っていた綺久羅美が、ましろへと姿を変え、裕理と力を合わせて三強を倒していく…というのが大筋。
戦闘シーンがあったりして意外と熱いストーリーなのですが、最終的には大変丸く収まるようになっており、
この辺りはギャルゲだなと思いました(笑)。根っからの悪者がいないんです。
個人的には、もっと「悪を罰する!」みたいな展開でもいいかなと思ったくらい。
全体的な雰囲気はしっかりファンタジーだけど、無難に終わりすぎたというか… ちょっと物足りなかったです。

攻略対象のヒロインは4人ですが、「三強を倒す」という基軸が共通しているため、2周目以降は少々読み疲れます。
(三強の登場順がルートごとに異なっていて部分的にシナリオが変化するため、既読スキップはあまり使えない)
基軸の伏線として、各ヒロイン固有の問題に向き合っていくシナリオがある感じでした。
個別ルート部分もシリアス寄りのシナリオとなっていて、面白かったです。

前作(いつ空)は北欧神話の設定を活かした難解なシナリオでしたが、今回はさほど難しくなく、読みやすかった。
少し歴史的な要素を入れていて、ご先祖様(?)が語る場面は「?」となりましたが、あのセリフの意味が理解できなくても
大きな影響はないと…信じてます(^^;

ADVゲームでしっかりしたファンタジーを作るソフトハウスはそんなに多くないと思うので、
いつ空、タユタマという二作品で、Lumpは自社の「売り路線」を確立できたのかな?と思います。
タユタマは展開も理解しやすいので、アニメ化したのにも納得。


意外だったのは、エロ度の高さ。
ぱっと見、イベント数・濃度ともに控えめな作品っぽい印象を受けるのに、なかなかどうして、そんなことはなかったです。
エチイベントは全ヒロイン各4回。
基本和姦なのですが、初めてとかちょっとした特殊シチュとかで、結構騒がしかったです(^^;

なお、ましろルートクリア後とフルコンプ後に、おまけシナリオが計2本追加されます。
フルコンプ後のシナリオは、Nurseryプレイ済みの方はついニヤリとできちゃうシナリオですね。イベントCGはなし。
ましろルートクリア後のものにはCGが用意されています。

■絵 ・・・8点
元々耳っ娘が得意(だと思う)萌木原氏なので、今回のキャラはすごく期待してました。
まぁ、まんまとケモノ耳のましろは一目惚れでしたが(笑)
ましろに限らず、皆可愛くて綺麗でした。◎。
背景も綺麗だったので問題ナシです。
ただ、枚数が少ない(カットイン抜いたら100枚切っちゃうんですよ!)のでこの点数で。

イベントCGは差分抜いて116枚(カットインCG22枚含む)。HCG率34%。イベント数は16。
カットインCGについては、背景っぽくないもののみカウントしています。

■システム ・・・8点
セリフ選択式のノベル。

セーブはノーマル100個、クイックセーブ1個。
ロード時に確認できる項目はプレイ日付、サブタイトル、サムネイル、セーブ時のメッセージ。
セーブデータのコピーと削除も可能(私は使ってませんが)。
1ルート中の選択肢は多くないので、セーブは100個もいらないかなぁと思いました。

いくつか、初めて見る機能があったので書いておきます。(※機能名は勝手に命名してます)

1)シーン録画
任意の場面で「Rec」ボタンを押すと録画が始まり、任意の場面で「Stop」を押すと録画終了。
録画した場面のみ、いつでもロードできるという機能です。
印象深いシーンとか、大切なことを話すシーンとかを録画しておいて、後で確認するのには便利だなぁと思いました。
(二次創作してる人しか、そういう使い方はしないかもw)
ちなみに、保存可能なシーン数は100。1シーンあたりの録画時間制限はないと思うので、これまた十分です。

2)BGM選択機能 (正式名称:ミュージックプレイヤー)
シナリオを読んでいる最中、一度聞いたBGMであれば、いつでも好きなBGMに変更できるというもの。
下手に使うとシーンの雰囲気を台無しにするのであまり使い道はないかなぁ…と思ったりしないでもない。

3)曲名テロップ表示
BGMが変わるたびに、ウィンドウの右上に曲名がテロップ表示されました。
ゲームのBGMって、聞いていても曲名まで知らないものがほとんどなので、テロップが出ることで
「こんな曲名なのか」とか「お、この曲よく流れるなぁ」とか、1曲1曲をしっかり認識できて良かったです。
なお、テロップ表示はON/OFFの切り替えが可能なので、邪魔くさい方はOFFにすれば良いかと。

4)バックログからのリスタート機能
普通、バックログのセリフを選択しても、選択した音声を再生できるだけなんですが
タユタマは、選択したセリフまで場面が戻り、背景、CG含め再度楽しめるという仕様になっていました。
(音声再生したかっただけなのに、場面戻っちゃった人もいるのではないかと思うw
 →音声再生だけも、もちろん可能。その場合は、バックログのセリフ左端にあるスピーカーアイコンをクリックする。)


基本は普通のADVシステムなんですが、見かけないシステムが多かったということで、ちょっと高めの8点評価。
ただ、BGM選択機能なんかは、必要度に疑問を感じるので、次回以降ではプラス要因にはなりません(笑)。

■音楽 ・・・7点
総曲数は37(BGM29+ボーカル8)。
ボーカル曲は、ファーストOP『瞬間スプライン』(歌:kicco)、セカンドOP『こんな春の空を』(歌:霜月はるか)、
ED『虹を見つけたような色で』(歌:霜月はるか)、イメージソング(挿入歌)『Cherry』(歌:kicco)の4曲。
その他の4曲は、各ヒロインに用意されたキャラソンです。挿入歌にもなってるけど…CD売る気満々だね?(笑)
 →(追記)後で知ったのですが、キャラソンは初回版同梱特典のCDのみへの収録で、販売予定はないそうです。
       それはそれでちょっと勿体ない。
とはいえ、美冬を演じられた三咲さんが歌う『RainyPain』は、すごく好きな曲でした。
(美冬および三咲さんが私のお気に入りであるという贔屓目を除いてもw)
BGMは、テンポのいい曲からロックナンバー、しっとりバイオリン曲まで幅広いですが、アップテンポの曲がよく耳につき、印象に残っています。
システムの項に書いた通り、BGMが流れる際に曲名がテロップ表示されるおかげで、たくさんの曲名を認識できました!

■総評 ・・・7.5点
前情報から想像していたよりもしっかりしたシナリオで、ほのぼのラブコメだと思っていた私には嬉しい裏切りでした。
これが今後のLumpの路線になるんだと、勝手に信じてます。そうであってほしい!
普通のラブコメもそつなく作るソフトハウスだとは思いますが、どうせなら、ちょっと特徴が欲しいのでね。

シナリオ以外の要素も全体的に平均以上のレベルで、安心してプレイできました。

■お気に入りキャラ:美冬
             ビジュアルではましろが一番だったんですが、プレイ後は美冬に。
             普段、学生の憧れの的である真面目なミレディが、恋しちゃうと可愛いわけですよ。
             その上、決めるトコはビシッと決める素敵キャラでした。

             なお、全ヒロインのお気に入りランキングは
               美冬>ましろ>アメリ=ゆみな 。
             アメリはちょっと自己中すぎて、鬱陶しく感じてしまう場面があってマイナス。
             (そういえば、思ったほど飴ちゃん配るシーンはなかったような…;;)
             ゆみなはいい娘なんですけど、マイナス思考になった時がうるさすぎますぅ〜!(←ぷりえごの時と同じ評価w)

■お気に入りシナリオ:美冬ルート
              トゥルーがましろ、大団円はゆみな な気はするんですけど、読み甲斐があったのが美冬だったので。
              身分差を乗り越える愛は、ストーリーも盛り上がります。(ベタなテーマだけどね!)

              シナリオ評価とは別ですが、ましろEDの解釈は人によってそれぞれ出来てしまう気がしました。
              結局、あれって平和な終わり方だと思って良いんでしょうかね?
              (参考; ましろルートクリア時の日記

2009.05.10

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