Volume7
RococoWorks


◇DATA◇
発売:初版 2008年10月24日
     修正版 2008年12月26日
 DVD-ROM1枚
フルボイス  ジャンル: ADV
原画: 笛
シナリオ: J-MENT

―つながれ、心のノード。
   僕らが変える、二つの世界―


世界各地に突然現れ、電波障害などを引き起こす、目には見えないドーム状の障壁…スフィア。
そのスフィアが日本で初めて現れた地が、首都圏にある街 奈々浜だった。
世界では9番目の出現となった奈々浜のスフィアだったが、その9番目に重なるように発生した10番目のスフィア化現象は
他には例を見ない変化を奈々浜の街にもたらした。

ドーム内の地形や建物が、100年近く前のものに巻き戻るという現象。
人々は、これを「時震(タイムクエイク)」と名付けた。

スフィアの障壁は目には見えないが、人体にも悪影響を及ぼすため、生身での通過は不可能。
ドームの外側の世界(外世界)とドーム内の世界(内世界)を繋ぐのは、時震の影響を免れた市営地下鉄の路線のみ。
そして、内世界に行くためには特別な許可証が必要なため、大抵の人は出入りできない。

そんな奈々浜で、世界に向けて番組を放映している通信局「テルス」所属の学生リポーターとなった少女・梗香は、
唯一のクラスメイトである十丸と共に、奈々浜スフィアの現状を外世界に伝えることを決める。
二人は、奈々浜スフィアの真実にたどり着けるのだろうか…?

総評:6.5

私がベタ惚れした「カタハネ」のスタッフが集まって制作された作品。
ブランドが発表になった時は、どんな作品が出るのかはそっちのけで
ただ、同じスタッフさんでのチーム復活を喜んだ記憶があります。

カタハネほどの期待(=異常な惚れ込みw)をしてはいけないんだろうなと思っていましたが、まあ、思っていた通り「程よく良作」の類だったと思います。
私は、それまで普通の世界で展開されていた物語が、急にSFワールドになる展開が苦手なのですが(すごく嘘くさく&安っぽく感じてしまう/汗)本作は、ややこの傾向があったのでシナリオ評価が低くなったかもしれません。

OHPなどで情報を見て受けた印象よりも「意外とSF」「意外と百合」←w でした。

■シナリオ ・・・6点
うーん、なんだかなぁ。
ついついクリックしていってしまうテンポの良さはあったんですけど、読み終わってみて、
「面白かった!」と言えるか?と訊かれたら、具体的にどこが面白かったかがスッと出てこないような微妙な感じ(^^;

シナリオは1本道と言って良いでしょう。
外世界編→内世界編(カップル別に3ルート)→真世界編 という構成。
内世界編は、ルート開始時に「誰のルートに進むか?」と選んでから開始するので
シナリオ中のセリフ選択によって結ばれるヒロインが変わるということはありません。
そして、3カップル分のシナリオを全て読まないと真世界編には進めないため、
特定のヒロインだけ攻略しても終われないゲームになっております。
いや、そこで終わっていただいてもいいですけど、個別ルートはかなり中途半端なとこでブチっと切られるので
真世界編まで読まないと駄目だと思うんですよ(^^; ゆえに、1本道シナリオ。

お話の舞台は現代日本ですが、正確には異常事態(スフィア化)に巻き込まれた奈々浜という架空の町であるため、
通常の学園モノとは少し違った雰囲気です。また、スフィア化関連の説明は割とお堅い説明をされるので、
SFっぽい印象を受けました。
OHPなどの作品紹介を見て、世界の謎に若い男女が挑む作品かしらー?と思っていたんですが
実際には、挑むというより、巻き込まれていくという感じ。
普通の生活をしたかったのに、いつの間にか大きな陰謀の中にいる…といった感じでしょうか。
なので、予想以上にほのぼの系ではない作品でした。

プレイヤーの視点がたまに切り替わる群像劇スタイルですが、カタハネほどコロコロとは変わりません。
主に、選んだカップルの男性視点で進み、時々、相手の女性視点に変わる、ぐらい。
真世界編はころころ変わりますけど、位置付けが特殊なシナリオなので別とします。
内世界編はヒロインとの仲が深まっていくシナリオですが、好みのヒロインを選んで進めているわけではない上に
毎回主役の男性が異なるため、感情移入は難しいのかな?と思います。

お話は3組のカップルを中心に展開されますが、その他のサブヒロイン(リョウコ、あざみ除く)にもエチシーンは用意されています。
そして、実は百合カップルも含まれています。このあたりは、さすがJ-MENT氏ですね。
メインヒロインは皆、イベントが複数回発生しますが、本編内では全ての回想シーンが解放されません。
全クリ後に「After Story」として、サブを含む全ヒロインのエチイベントが鑑賞可能になります。
本編内だけではエチ度が少ないと思っての対応…なのかな?

最初に述べたように1本道のシナリオなので、全ヒロインを攻略するために何度も同じシナリオを読むということは全くありませんでした。
(既読スキップはCGの差分回収のためにしか使用しなかった。)
そう考えると、ヒロインの数は大して多くありませんが、シナリオは通常の作品よりも長いかもしれません。

「カタハネが良かったから」ということで本作品に興味を抱いた方は多いようですが、
正直、カタハネよりは点数を低く付けてしまうお話でした。
でも、物語終盤でものすごい勢いで展開していく「世界の謎の解明」部分(とってもSF)は、
「お、お!」と思いながら、つい読み進めてしまうシナリオでした(展開が早すぎるという批判もあるでしょうが)。
惜しむらくは、ぐっとシナリオが盛り上がったところで、なんの余韻もなく次のシーンに進む展開がいくつかあったこと。
私は、謎の解明を急ぐ展開はそれほど気にならなかったのですが、上記のような理由から
シナリオに余裕を持たせてほしかったなということは思いました。

■絵 ・・・8点
原画は笛氏。
淡い色調で綺麗な絵を描かれる方。
いわゆるギャルゲ絵ではありませんが、線が細くて可愛い絵柄は大好きです。
背景はカタハネに引き続いてminoriが担当しており、綺麗でした。

イベントCGは差分抜いて100枚、HCG率32%。イベント数は12
ちょっと枚数が少なかったかな。。。
一枚のCGを拡大したり縮小したりするシーンがよくあるのですが、拡大しても画質が落ちないのは◎。
(拡大前提で、全て大きめサイズのCGを収録しているらしいです)
絵柄のせいもあってかそれほどエチ度は高くありませんが、綺麗で雰囲気のある絵が多く、良かったです。

■システム ・・・6点
※初版は、パッチがOHPにて公開されています。

基本は、セリフ選択式ADV。
その他、内世界編開始前に、どのカップルのシナリオを読むか選択します。3カップルの選び順は任意。
(プレイ順は任意ですが、恐らく左から順番に選択するのが、シナリオを理解しやすいと思います。)

オートモード、スキップ、バックログでの音声再生等、基本的なシステムは完備。
シンプルなシステム画面はカタハネと変わらず。
というか、カタハネの画面構成をそのまま引き継いでます。上下を切った横長の画面とか。
各種設定を一度にできるコンフィグ画面はなく、音声、スピードなど、ツールバーから一つずつ選ぶ形式。
なので、ちょっと使いづらいかも。
カタハネではあまり意味のなかった「Map」が、ちゃんと意味のあるものになってましたw
(全く無関係ですが、世界各地のスフィア発生マップはなんとなくオルタを思い出したw)

セーブ数は標準180で、オートセーブ、クイックセーブはなし。
進行中のシナリオ名称(○○編)、セーブ日付・時刻記録。必要最低限の情報ですね。
サムネイル付きですが、セーブ箇所にカーソルを合わせて初めてl形式でした。

プレイ中には全く見なかったのですが、キャラ&用語辞典があることに今気づきました(ぉ
SFらしく、特殊用語がいくつか出てきますが、これでいつでもチェック可能です!(見なかったけd

なお、初版と修正版は、普通にプレイする限りでは何ら変わりありません。
初版の方は、頑張らないと見えない方式で不適切なCGが収録されている、ということ。
私は初版を購入しましたが、問題の画像は全く見れてませんw

■音楽 ・・・6点
私が「カタハネ」を高評価している理由のトップ3に入るのが音楽なのですが、
本作の音楽は「カタハネ」と同じくM.U.T.S. music studio.が担当されています。
でも、やっぱり世界観がそれほど変わった設定ではないので、BGMも際立った部分がなかったというか…
悪くはないんですけど、それほど印象的なものもなかったというのが正直なところです。
曲は明るいものからシリアス調のものまでピアノが入る曲が多く、その他もシンセ音が気になる曲はあまりありませんでした。
曲数が、ボーカル曲&ボーカル曲のインスト版を入れても21曲っていうのはちょっと少ないと思いましたし。
(ボーカル曲は3曲×それぞれにインスト版 なので、純粋なBGMは15曲。)

テーマソングは『Perfect World』(歌:Rita)。OP(配布されているデモムービー)に流れる曲で、明るい曲調。
エンディング曲は個別ルート終了時に流れるのが『ゼロの軌跡』(歌:観月あんみ)。
「え!ここで終わりなの!?」というもやもや感を強めてちょっと悲しくさせるw、しっとり落ち着いた曲です。
トゥルーエンド後に流れるのは『Beautiful Scenary』(歌:Rita)。穏やかな日々の訪れを喜ぶような優しい歌。
とりあえず、カタハネファンは喜んどけ!ていうラインナップですね(笑) いや、今回の歌もいい歌なんですけども!
私は3曲の中では『ゼロの軌跡』が一番好きです(初回特典のCDに唯一入ってないボーカル曲/涙。)

■総評 ・・・6.5点
絵は○、シナリオがちょっと惜しい、その他は特にインパクトなし…ということで平均ちょい上のこの点数。
盛り上がるシーンは所々にちゃんと用意されているので、そこを上手に使ってもらえてたら
もっとシナリオの点数が上がったかも。
活かしきれていないといえば、そもそも「内世界」「外世界」という二つの舞台が有効活用されてなかったと思うんですよね。。。
内世界編の、特に琴良とさくらは、ほとんどのシナリオが内世界で進むので「外世界いらないんじゃね?」と思いました。
裏に隠された陰謀を描くためにドーム内外を分ける必要があったんだというのを認めるとしても、
ドーム内が100年前の姿に戻る必要はそんなにないような; この設定が活きてるのって、さくらだけじゃないでしょうか?

全体的に酷評気味なのは、どうしてもカタハネと比較してしまうからです。
申し訳ないな、とは思うのですが「あの作品が作れたスタッフなら!」と期待してしまった人は多いはず。
本作も面白いところは面白かったので、J-MENT氏の今後に期待です。

エロゲよりも、ちょっとSF要素のあるファンタジー作品をお求めの方向き。
謎解き要素はありませんですよ。
あと、カタハネをプレイした人がついニヤッとしちゃうネタがちょこっと仕込まれてます。
ファンの方は、せっかくだからにやついておきましょうw

最後に…
完全に私だけの視点ですが、ロシア語指導のスタッフを付けてまで、ちゃんとロシア語を喋らせたのは良かったです。
アクセントの位置とか発音が違う(жの音とかw)のでは?と思う単語もちょっとあったけど、監修付いてるなら文句は言えません;
訳の出ないヴァレンティナのセリフの意味を取れたことにささやかな優越感を感じましたよw
(管理人は学生時代にロシア語を習ってましたのです。)

■お気に入りキャラ:さくら
             金髪ツインテとかアニメ声とか、その辺は全く私の好みではないんですけど(ぉ
             八代を想う描写がとても可愛かったです。
             ちなみにビジュアルは琴良が一番好き。

■お気に入りシナリオ(内世界編):龍護&琴良ルート
              一番、物語としてまとまってたかな〜と。
              ラストの雨の中のシーンが良かったです。
              琴良の不定因子が活性した状態のCGやイベントがなくてホントに良かったよ!(謎笑)

2009.01.18

BACK